研究課題/領域番号 |
20K12707
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
井上 学 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (60439362)
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研究分担者 |
古賀 政利 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (30512230)
豊田 一則 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 副院長 (50275450)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 急性期脳梗塞 / 灌流画像 / CT灌流画像 / 血管造影検査 / 再灌流療法 |
研究実績の概要 |
日本における脳卒中の患者数は現在約150万人、年間新規発症者数は30万人とされる。脳卒中は、悪性新生物、心臓病に次いで日本人の死因の第4位であり、要介護の原因疾患として第2位を占める。また、今後10年間は高齢者人口の増加と共に、脳卒中患者数の増加が予想されている。脳卒中の3/4を占める脳梗塞については、組織プラスミノゲンアクチベータ(rt-PA)静注療法、機械的血栓回収療法により急性期の治療成績は飛躍的に向上している。現在急性期脳梗塞に対してこの2種類の再灌流療法が、標準治療となっている。より多くの脳梗塞患者の後遺症を軽減するためには、より明瞭で適切な画像診断が求められている。 本研究ではより早期に再灌流療法を始めるべく自動造影灌流画像解析システムであるRAPIDを使用して、直接カテーテル室に急性期脳卒中疑い患者を搬送し、灌流画像解析を行い、再灌流療法の適応を決定するシステムの研究である。世界的なコロナ禍に入り、当センターの救急診療の場でも、発熱・酸素濃度低下・レントゲンでの肺炎像を否定した後に画像検査に移行するように救急受診システムの変更が余儀なくされ、直接カテーテル室への患者搬送が困難になってきている。CTやMRIなどの標準的な頭部画像検査においても十分な感染防御体制を整えてから、検査を行うようになったため、診断速度の低下がないか検討している。現在救急受診患者のカテーテル室の感染対策を今まで以上に充実させ、本研究の遂行を目指す。また感染対策の一環として、リモートによる診療体制を整備するため、灌流画像情報を手持ちのポータブルデバイス(スマートフォンやタブレット)で閲覧できるシステムを導入し、本研究内容のカテーテル室の灌流画像検査と合わせて、第45回日本脳卒中学会学術集会のシンポジウムと、第36回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会のシンポジウムで発表報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
直接カテーテル室に急性期脳卒中疑い患者を搬送し、灌流画像解析を行い、再灌流療法の適応を決定するシステムの研究であるため、世界的なコロナ禍に入り、直接カテーテル室への患者搬送が困難になってきている。当センターの救急診療の場でも、発熱・酸素濃度低下・レントゲンでの肺炎像を否定した後に画像検査に移行するように救急受診システムの変更が余儀なくされている。
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今後の研究の推進方策 |
直接カテーテル室への患者搬送を簡便にするため、あらかじめ感染していないことが判明している他院からの転送症例を対象に研究を推進していく。また引き続き、感染対策の一環として、リモートによる診療体制を整備するため、RAPID mobile アプリと医療関係者間コミュニケーションアプリのJOINを連携させ、感染患者への接触を最小限にし、情報共有を最大限に行えるようにシステム整備を進めていく。 コロナ禍以前とコロナ禍で脳卒中診療体制の時間軸の変動を比較する研究をまとめ、2021年9月に開催される欧州脳卒中学会にて発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的なコロナ禍により救急診療のあり方が大きく変容した年度であったため,研究の進捗に遅れが生じた.特に計上していた学会への参加形態が変容したため,出張費用などがかかることがなかったため,助成金の使用に一部変更が生じた.今後も同様に助成金の使用方法(特に海外・国内の学会出張など)に変更が継続することが想像されるが,研究そのものは大きな変更はなく,進めていく予定である.
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