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2022 年度 実施状況報告書

複合セラミック製人工股関節の耐用性検証とその予測精度向上を目指した新たな提言

研究課題

研究課題/領域番号 20K12721
研究機関東京医科大学

研究代表者

高橋 康仁  東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)

研究分担者 立岩 俊之  東京医科大学, 医学部, 講師 (00424630)
宍戸 孝明  東京医科大学, 医学部, 教授 (70266500)
正岡 利紀  東京医科大学, 医学部, 准教授 (70256270)
山本 謙吾  東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード人工股関節 / 複合セラミックス / 加速エージング / 相変態 / 残留応力
研究実績の概要

本研究では、最先端の人工股関節摺動部に利用されているアルミナ強化型ジルコニア(alumina-toughened zirconia;ATZ)およびジルコニア強化型アルミナ (zirconia-toughened alumina;ZTA)複合セラミックスを対象とし、含有するジルコニア相の低温劣化(low temperature degradation)への耐性について、相変態分率および残留応力値の経時変化から比較分析を行った。低温劣化速度は、高圧蒸気滅菌器を用いた加速エージング試験により検証し、生体内の60年間に相当する長期間のシミュレーションを実施した。さらに各摺動部表面に初期亀裂を印加し、微小亀裂の有無が相変態速度にどのように影響するかを調査した。
ジルコニア含有量が多いATZの方が、ZTAに比べて低温劣化の速度および圧縮応力の増加速度が有意に早い結果であった。一方、ZTAでは60年相当のシミュレーションにおいても、低温劣化の進行は僅かであり、より優れた構造安定性を示した。このことから、ジルコニア含有量が低温劣化速度に影響する因子であることが示唆された。また微小亀裂の先端および周辺領域においては、相変態分率の局所的な増大を認めたが、低温劣化の進行速度には有意な影響を与えなかった。したがって、外部応力が作用する生体内環境においても、ZTA摺動面は長期間優れた構造安定性を示すことが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では、生体内の40年間に相当するエージング試験で終了する予定であったが、安全のためより長期間の100年相当まで検証することとし、研究期間を1年延長した。現在、対象材料3種の内の2種は、100年相当までエージングが完了しており、残り1種についても60年相当まで計測および解析が終了しており、おおむね順調に進捗していることから、次年度で本研究を終了できる見通しである。

今後の研究の推進方策

次年度、エージング時間を生体内の100年相当まで大幅に延長する。また理論計算に基づき組成比や粒径など微細構造の差による低温劣化機序への影響を検証する。さらに文献調査により、摘出インプラントの相変態率をエージング結果と比較し、耐用予測精度向上のための新たなシミュレーション条件についての検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

より厳しい耐用性検証を実施するため、当初計画していたエージング時間を2.5倍に延長したため、研究費の一部を繰り越すことにした。また今年度はエージング試験器が故障し、新規購入が必要となったため、研究の遂行に遅れが生じたことも一因である。次年度の使用計画としては、各種計測機器の保守点検費用や消耗品購入のための費用に充当する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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