研究課題/領域番号 |
20K12722
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 嗣道 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (50305950)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 副作用 / シグナル検出 / time-to-onset / 感度 / 特異度 |
研究実績の概要 |
本研究は、薬の投与開始からイベント(有害事象)発現までの時間(time-to-onset: TTO)の分布を指標とする新しい副作用シグナル検出の手法(TTO法)の意義を明らかにすることを目的とする。 2022年度は、2021年度までの成果を踏まえ、抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、鎮痛薬、抗ウイルス薬と免疫学的機序が関与し得る17イベントの組み合わせを検討対象とし、TTO法により検出されたシグナルの感度、特異度を計算した。その結果、検討対象とした薬‐イベントについて、TTO中央値が短い組の感度は抗菌薬58.6%、NSAIDs 44.0%、鎮痛薬79.3%、抗ウイルス薬48.1%であり、特異度は各々63.6%、66.7%、55.6%、40.0%であった。TTO法全体の感度(33.5%)、特異度(76.0%)、TTO中央値が短い組全体の感度(38.9%)、特異度(74.3%)と比較すると、いずれも特異度は減少したが、感度は上昇した。以上の結果より、TTO法により、抗菌薬、鎮痛薬等の薬による免疫学的機序が関与し得るイベントをシグナルとして感度高く検出し得ることが示唆された。抗ウイルス薬については、TTO中央値が短い組では短期間使用する薬についてシグナルが多く検出された。以上より、TTO法は、短期間使用する薬による急性または早発性のイベントのシグナル検出に有用であることが示唆された。 これらの成果を英文論文として発表する予定であったが、進捗が遅れたため2023年度まで期間を延長し、今後、論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、コロナ禍の状況下において、研究室での活動が制限された時期があったため、解析が予定通りには進まなかった。2022年度末において概ね解析は終了したが、その結果を英文論文として発表するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの研究成果を英文論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は国際学会が対面で開催されたが、コロナ禍において海外渡航を控えたため、学会参加に伴う旅費を支出しなかった。また、研究成果の論文化が2022年度中に完了しなかったため、論文投稿に関する支出が生じなかった。以上の理由により、次年度支出額が生じた。 2023年度は、論文投稿に加えて論文投稿に関する費用(英文校閲料、掲載料など約50万円)を支出するとともに、国内学会の参加費および旅費(約8万円)を支出する予定である。その他、消耗品費(約5万円)等を支する予定である。
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