研究課題/領域番号 |
20K12725
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
東 隆一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 形成外科, 教授 (00531112)
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研究分担者 |
櫛引 俊宏 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 准教授 (30403158)
堀口 明男 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 泌尿器科, 准教授 (20286553)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / 局所陰圧閉鎖療法 |
研究実績の概要 |
局所陰圧閉鎖療法(Negative-Pressure Wound Therapy: NPWT)は、創傷部位に陰圧を加えることで治癒を促進させる物理療法である。陰圧による創縁の引き寄せ、肉芽形成の促進や浮腫軽減などの効果により創傷治癒が促進するといわれているが、分子生物学的メカニズムの解明は十分でない。NPWTの効果の一つに血流促進効果が知られているが、これを応用して遊離皮弁などの移植組織採取予定部位(ドナー部位、非創傷部)にあらかじめNPWTを行うことで移植組織の生着促進を目指すpreconditioning NPWTを検討することにより、NPWTのメカニズム解明を試みた。 糖尿病モデルマウスの背部両側に区域を設定し、左側を非介入側、右側を介入側とした。介入側に何もしないControl群、ポリウレタンフォーム(PU)を当てるだけの大気圧(AP)群、PUを当ててNPWT用機器RENASYS(Smith & Nephew社)によって-120 mmHgの陰圧を負荷する陰圧(NP)群の3群に分け、1日3時間の治療を計4日間行った。4日目の治療終了後に各マウスの背部両側から組織サンプルを回収し、ELISA法による発現タンパク質量測定と病理組織学的検討を行った。 その結果、NP群では他群に比べて組織中のHIF-1αおよびVEGFの発現量が有意に高く、真皮におけるCD31陽性新生血管数が有意に多かった。NPWTに知られている治療部位の血流促進効果が、皮膚欠損部のみならず皮膚が存在する部位でも同様にみられることが確認された。このことから、preconditioning NPWTとしてドナー部位にあらかじめ陰圧負荷を行うことによって、HIF-1α-VEGF系を介した血管新生効果により移植組織の血流促進効果が得られ、組織移植後の生着促進に寄与する可能性が示唆された。
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