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2020 年度 実施状況報告書

アンチセンス医薬の新規自然免疫活性化機序の解明と評価法構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12726
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

吉田 徳幸  国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 室長 (00649387)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアンチセンス / 自然免疫活性化
研究実績の概要

近年開発が進むアンチセンス医薬品に特有の有害事象の1つである自然免疫活性化は、これまでToll様受容体9(TLR9)を介すると考えられてきた。しかし、既存のTLR9活性化を指標とした試験をクリアしているにも関わらず、複数の開発品が臨床試験で自然免疫活性化が認められるケースが認められている。これを踏まえ我々は、アンチセンスを認識するTLR9非依存的な経路が存在し、自然免疫系の活性化に寄与していることを立証した。本研究ではアンチセンスによるTLR9非依存的経路を介した自然免疫活性化の機序を解明し、TLR9非依存的な自然免疫活性化の評価法を構築することを目的とする。「アンチセンスによるTLR9非依存的経路を介した自然免疫活性化の機序において中心を担う分子は何か」を本研究課題の核心をなす学術的「問い」とし、これまで独自に見出したTLR9非依存的な経路を介して自然免疫系を活性化させるアンチセンスを駆使してこの点を明らかにし、当該経路に特化した評価法を構築する。
本年度は、近年開発されているアンチセンス医薬品の塩基長を考慮し、20塩基長以下のアンチセンスモデルを設計した。これらのモデルアンチセンスについて、構築を進めている本評価系を用いて自然免疫活性化を評価した。その結果、当該経路を活性化するアンチセンス配列を複数見出すことに成功し、本評価系の妥当性を示した。また、自然免疫活性化についてヒトとマウスの種差を明確化し、ヒト細胞を用いた評価系の必要性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述したとおり、当該年度はTLR9非依存経路を介した自然免疫活性化を誘導するアンチセンスを複数見出し、本評価系の妥当性を示した。現在、アンチセンスによるTLR9非依存経路を介した自然免疫活性化の評価指標の候補となる複数種類のサイトカインの上流分子を調べることで、アンチセンスの認識のKeyとなる受容体の絞り込みを進めている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りアンチセンスを認識する核酸認識受容体の同定を進める。評価指標となるサイトカインの選定するための解析で用いたヒト末梢血単核細胞は、単球、樹状細胞など様々な免疫系細胞で構成されている。これまでの検証で、同定したサイトカイン産生の中心を担う責任細胞種を選別している。今後は、同定した細胞種の培養細胞株等を用いて、サイトカイン産生における核酸認識受容体の寄与を解析し、アンチセンスを認識する核酸認識受容体を同定する。

次年度使用額が生じた理由

本年度実施した解析については、当初予定した費用内で実施することができたため、わずかではあるが次年度使用額が生じた。次年度使用額については、2021年度に実施する検証の試薬類等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 核酸医薬品の薬物動態特性とその評価2021

    • 著者名/発表者名
      高草英生, 岩﨑紀彦, 西川元也, 吉田徳幸, 小比賀聡, 井上貴雄.
    • 雑誌名

      医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス

      巻: 52 ページ: 76~84

  • [雑誌論文] アンチセンス核酸医薬品の薬物動態評価の現状2021

    • 著者名/発表者名
      岩﨑紀彦, 小平浩史, 後藤昭彦, 山中陽介, 佐藤正延, 宮澤憲浩, 庭山裕孝, 設楽悦久, 関口裕太朗, 田 直美, 高草英生, 角辻賢太, 今井峻司, 深野泰史, 福原慶, 蓼原吉輝, 吉田徳幸, 小比賀聡, 西川元也, 井上貴雄
    • 雑誌名

      医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス

      巻: 52 ページ: 150~163

  • [雑誌論文] RNAを標的とする核酸医薬品のオフターゲット効果の予測・評価法2020

    • 著者名/発表者名
      吉田徳幸, 井上貴雄
    • 雑誌名

      PHARM TECH JAPAN

      巻: 36 ページ: 75~83

  • [雑誌論文] Development of a bioanalytical method for an antisense therapeutic using high-resolution mass spectrometry2020

    • 著者名/発表者名
      Sun Yuchen、Nitta Shin-ichiro、Saito Kosuke、Hosogai Ryuta、Nakai Keiko、Goda Ryoya、Kakehi Masaaki、Murata Kazuyuki、Yamaguchi Takeru、Okuzono Takeshi、Yamane Shinichi、Enoki Yoshimasa、Kawabata Mitsuhiko、Takahara Kentaro、Sato Shimpei、Yoshida Tokuyuki、Inoue Takao、Saito Yoshiro
    • 雑誌名

      Bioanalysis

      巻: 12 ページ: 1739~1756

    • DOI

      10.4155/bio-2020-0225

    • 査読あり
  • [学会発表] LC/MSを用いたアンチセンス医薬品のバイオアナリシス手法に関する多施設分析法バリデーション2020

    • 著者名/発表者名
      孫雨晨,新田真一郎,細貝龍太,中井恵子,合田竜弥,掛樋真彰,村田和之,山口建,奥薗剛,山根真一,榎木啓真,川端光彦,高原健太郎,佐藤心平,吉田徳幸,齊藤公亮,井上貴雄,斎藤嘉朗
    • 学会等名
      日本薬物動態学会第35年会
  • [学会発表] アンチセンス医薬のオフターゲット効果の評価法に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      吉田徳幸,佐々木澄美,小比賀聡,井上貴雄
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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