研究実績の概要 |
誰もが安心して自立した生活を送ることができる社会の実現を目指して,視覚障害者の安全な単独歩行を補助する装置を研究開発している.視覚障害者が自立した生活を送るためには単独歩行は不可欠である.しかしながら,視覚障害者の単独歩行には多くの危険が伴う.歩道からの飛び出しによる自動車との接触事故や駅のプラットホームからの転落事故も多い.GPS電波が受信可能な屋外だけでなく,GPSの電波が受信できない駅構内などの屋内の移動も可能なシステムを構築する必要がある. これまでに,地図情報とランドマーク情報をあらかじめ与えることで,自己位置を推定しながら歩行経路を記録するシステムを構築してきた.カラー画像に加えてカメラからの距離(深度)が取得可能なセンサを用いてランドマークと障害物を検出した.さらに,これまでの装置では,音声による提示のみであったが,音による提示と複数個のバイブレータを用いた振動による提示を支援装置に実装した.ナビゲーション指示に関する3種類の提示方法について比較実験を行った.新型コロナウィルス感染症の影響により,被験者として視覚障害者の方の依頼が困難であったため,晴眼者を被験者として情報提示を行い,3つの提示方法の違いによる被験者の反応の違いと提示のタイミングについて検討した.実験の結果から,提示方法によってタイミングを変える必要があることを明らかにし,タイミングを変えた3つの提示方法を支援装置に実装し,使用者が選択可能な装置とした.
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