研究実績の概要 |
本研究では,官能評価を用いて刺激が抑えられていると感じながらも視認性の高い発光パターンを探索する実証実験を行った.点滅のオンとオフが繰り返す単純点滅と徐々に明るくなり徐々に暗くなるフェードイン・フェードアウト点滅の刺激の強さと視認性を官能評価で計測することによって,刺激の順応と覚醒のトレードオフな関係から最適なパターンを探索する.実験では,常灯する発光ブロックと単純点滅やとフェードイン・フェードアウト点滅との比較を行い,視認性に及ぼす点滅刺激の関係を明らかにする.今回の実験では,3種類の環境照度(20lux, 50lx, 100kx)に対して官能評価について述べる被験者には常灯の光を基準として,それぞれの点滅パターンの刺激の強さ,視認性と不快感について評価してもらう.周囲の照度が低い(20lx)場合,フェードイン・フェードアウト点滅の方が光の刺激が少なく見つけやすいため総合評価値が高くなった。逆に,周囲の照度が高い(50lx)場合,単純点滅の方が光の刺激があるため,見つけやすくなり,総合評価値が高くなった。単純点滅ではあるが視覚障害者への視認性が確保できたと思われる。そして100lxの場合,発光ブロックの照度に対して周囲の照度の差が少なくなるため,単純点滅もフェードイン・フェードアウト点滅も発光ブロックを見つけることが困難となり,総合評価値が非常に低くなった。周囲の照度によって単純点滅かフェードイン・フェードアウト点滅かを選択することが知見として見出された。最適な点滅パターンで点滅させた発光ブロックを横断歩道口に敷設することによって,歩行者や周囲の環境に配慮した点滅でありながら視覚障害者の誘導に効果的な支援を行うことが期待できる.
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