研究課題/領域番号 |
20K12744
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小北 麻記子 玉川大学, 芸術学部, 教授 (00389694)
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研究分担者 |
大西 謙吾 東京電機大学, 理工学部, 教授 (70336254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 形成不全前腕 / 発達 / 人工ボディパーツ |
研究実績の概要 |
生まれながらに手指がない(母体内で上肢の発達が中途で停止する)子どもは,現代にあっても一定数認められ,その対策方法はもとより原因も解明されていない.したがって出生後に義手などで補完を目指すことになる.しかしながら.手の機能は.なにかを持つなどのみではなく,乳幼児にあっては,運動や触覚など発達自体に手が大きな役割を果たす.本研究では,生まれながらに手指がない子どものために,発達を目的とした人工の手指を開発するとともに,保護者の人工の手指の装着と発達への協力を得られるよう,保護者の心理的な環境も考慮しながら子どもの発達に有用な情報を提供するメディアの設計を行うものである.
A)保護者用メディアについては,研究代表者を中心とし,不便益システム研究,身体拡張性の研究グループ,ならびに,当事者・家族の会の協力を得て進めた.本メディア設計を行うにあたり適用する方法論について検討を行い,候補となるメディア種別の絞り込みを行った.当初想定していた紙媒体に限らない媒体も対象に検討を進めている。 B)欠損児用人工手指については,研究分担者である東京電機大学・大西が人工の手指の製作,神戸大学・野中が行動分析で中心的な役割を担う.そして,得られた結果,エビデンスを保護者に伝えるためのメディアデザインを研究代表者がおこなう.個人に応じたサイズ調整式の人工肢の詳細設計と製作は被検者実験が延期されたことで中断し,前年選別した保護者が人工の手指を子に装着する上で重視する人工肢のデザイン案をもとに愛和義肢製作所の協力のもと,色,指形状に重点をおいたシリコーン製人工の手指の試作を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウィルス感染抑制措置として,大学の入構制限等の措置,ならびに出張制限等もあり,実地集合にて試作等を確認しながらの研究打合せが進展していない.また,人工ボディパーツの形状寸法,重さ,肌触りといった皮膚感覚が主体となる評価とデザインのうち評価は延期とし,デザインは小児の手指の採型モデルを協力企業が持ち合わせていたことから,第Ⅲ期のシリコーン製人工の手指の試作のうち,色,指形状の個別調整因子を高リアリティとした外装モデルを前倒して試作を進めた.なお,残る個別調整因子の外装モデルと,内装モデルについては,評価を行った後に決定するため,試作は延期した.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染抑制措置のため,出張には制限があるものの,感染が小康状態の折に研究者が集合し人工ボディパーツの評価と実験打ち合わせを行う. 課題Aの第II期では延期となっている,メディアに掲載するべき情報の収集とエビデンスの確認をし,原案の設計を行う. 課題Bは第II期で延期となっている硬さ調整用の内装モデルと低リアリティの外装モデルは,高リアリティ人工の手指(硬さは先行実験用のモデル)にて先行被検者実験を計画,実施したのちに決定し,試作,実験準備を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染抑制措置のため,研究計画時に想定したエフォートを実施できなくなったこと,旅費,学会参加,謝金,外注加工等などの支出が困難になったことから,大幅な予定の変更が生じ,次年度使用が生じた. シリコーン製人工の手指の試作は完成が年度末となったことから,納品と支出は次年度としたため,支出は次年度使用となった.
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