本研究は片麻痺者の上肢リハビリにおいて,療法士に代わって支援するためのロボット開発と,さらに,回復期の長期にわたるリハビリテーションにおいてモチベーションを維持して継続的反復的なリハビリを可能にするためにAR/VRを利用したソフトウエアを含めたリハビリテーションシステム開発を行うものである.本年度は,AR(Augmented Reality)を用いて上肢の機能改善のための新たなリハビリテーションアプリケーションを構築した。開発しているアプリケーションは秋田大学医学部,付属病院,理工学部,秋田高専,さらに秋田県内の企業との研究会の協力を得て開発した.AR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は一般に市販されているHololens2を用い,VR用システムと同様に利用環境にも配慮してノートPCクラスで運用できるように開発した.AR用リハビリシステムはVRリハビリシステム用に開発された仕様に基づいており,VRと同様なリハビリ訓練が可能で実際にリハビリロボットを見て操作が出来るメリットがある. 近年,リハビリロボットに VR 技術やAR技術を組み合わせたリハビリ訓練システムが散見されるようになってきてはいるが,VR,AR,モニターを用いたアプリケーションの違いにより,安全性,モチベーションの維持,映像酔いの問題等は比較・評価はされていない.評価実験は,秋田大学理工学部の倫理審査を経たうえで,様々な年代を含んだ18名を被験者に,評価指標として,シミュレータ酔いの検証にthe Simulator Sickness Questionnaire(SSQ),ユーザビリティの検証にSystem Usability Scale(SUS)とUser Satisfaction Evaluation Questionnaire(USEQ) を用いて検証を行った.
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