研究課題/領域番号 |
20K12750
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安里 健太郎 沖縄工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (10610321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 介護ロボット / ニーズ・シーズ連携 / ラピッドプロトタイピングツール |
研究実績の概要 |
本研究は,介護ロボットの開発・普及の両面でニーズ側とシーズ側が密に連携していくための融合的知見を涵養する新しい連携養成法を構築することを目的としている.この目的達成に向けて,2021年度は,主に2020年度に引き続き「ラピッドプロトタイピングツールの開発」を行い,さらに,このツールを使うことを想定した「プレワークショップの内容設計」について行った.前者では,厚生労働省および経済産業省が取りまとめた6分野13項目の開発重点分野うちの3分野「移乗介助」「移動支援」「見守り・コミュニケーション」について,1/6スケールモデルを想定してツール開発を行った.具体的には,駆動系モジュール9種類,センサモジュール9種類のツールの製作および動作確認を行い,「micro:bit」「M5Stack」「M5Stack UnitV2」で知能制御系モジュールの構成を行った.後者では,2021年度発表した学術論文『介護ロボット開発におけるニーズ・シーズ連携法の構築: ICFモデルにより簡約化された機器機能を体現するモデルの活用』(電気学会論文誌D,141巻2号pp.113-123)の成果をベースに,ワークショップメンバー構成員および開発テーマの設定,ICFモデルに基づいたコンセプトシートの作成手順法,ラピッドプロトタイピングツールを使った簡易モデル製作実践法,開発コンセプトの洗練化手順法,開発介護ロボットの仕様策定法等をまとめた.また,今年度の研究成果としては,上記研究内容に関連する3件の学会発表(電気学会次世代産業システム研究会)を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,開発したラピッドプロトタイピングツールを使ってニーズ側専門家を含めたプレワークショップを実践し,その検証までを行う予定であった.しかしながら,新型コロナウイルス感染拡大の影響で,介護系専門家(介護福祉士や作業療法士)の協力を得てその検証を行うことができなくなった.そのため,今年度の進捗状況としては,主にラピッドプロトタイピングツールの「駆動系モジュール」「センサモジュール」の拡充を図り,プレワークショップで実施する内容を決定するにとどまった.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に引き続き,新型コロナウイルス感染拡大の影響で,介護系専門家との連携をうまく行うことが困難であった.特に感染拡大に注意が必要な業種であるため,まずは,小規模でも実施できるように次年度は感染対策も含めてワークショップが実施できるように調整していきたいと考える. また,次年度も引き続きそのような状況になることも考えられるため,並行して遠隔でも対応できるように本研究の拡充を行っていきたいと考える.具体的には,Nvidia社のプラットフォームOmniverseを利用して,仮想空間上でワークショップが可能となるようラピッドプロトタイピングツールを構成し,介護ロボット開発におけるニーズ・シーズ連携が行えるよう検討していきたいと考える.まずは,これまで製作してきたラピッドプロトタイピングツールのモジュールのデジタルツインをOmniverse上で構成し,その検証を行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関して,当初計画では2021年度は国外学会1件(13th IFAC Conference on Control Applications in Marine Systems, Robotics, and Vehicles),国内学会1件(2021年電気学会産業応用部門大会),介護ロボット開発研究動向調査(第48回国際福祉機器展 H.C.R.2021)に参加予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,旅行が制限されている状態であったため,参加できず支出ができなかった.また,謝金に関しても,介護系専門家(沖縄県介護ロボットニーズ・シーズ連携協調協議会メンバーの介護福祉士や作業療法士等)とのプレワークが実施できなかったため,支出ができなかった.研究調査・発表のための旅行やプレワーク実施は2022年度に実施予定であるため,2021年度支出できなかった分はその費用として執行する.また,2022年度分予算は当初の計画通り執行していくが,状況によってはプレワークショップおよび本ワークショップが2022年度も実施できないことも予想されるため,遠隔で実施できる環境整備として,Omniverse用のGPU,VRゴーグル,VRカメラ等の機材購入も行う予定である.
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