研究課題
本研究の目的は、日常生活歩行速度(DWS)の測定方法を日内変動、季節変動の分析を踏まえて定義すること、DWSと健康アウトカム指標との関連を明らかにすることである。2023年度はDWSを測定するアプリを民間企業の顧客の健康増進サービスに実装することでフレイル高齢者を組み込み、DWSとフレイルのドメインとの関係について検討した。対象者は、住宅サービスメーカーの55歳以上の顧客から募集した。対象者にはスマートフォンアプリによる長期間の歩行モニタリングとアンケートへの回答を依頼した。6か月間に収集されたデータを用い、測定時間帯を早朝(午前4~7時)、午前(午前8~11時)、午後(午後0~3時)、夕方(午後4~7時)、夜間(午後8~午後11時)の5時間帯に分け1日のDWSの平均値、標準偏差(SD)、変動係数(CV)を求めた。フレイルは基本チェックリストにより評価し、IADL、運動、口腔、栄養、閉じこもり、認知のドメイン別のスコアを求めた。10日以上測定できた対象者のDWS指標の測定期間における平均値とドメイン別スコアとの相関を、年齢を制御変数とした偏相関分析により検討した。分析対象者は137名(男性88名、女性49名、平均年齢(SD)72.1(6.4)歳)であった。DWSの平均値は、運動、口腔、合計スコアと有意な負の相関を認めた(それぞれr=-0.24、-0.33、-0.22、P<0.05)。DWSのSD、CVはフレイルのドメインとの相関は認めなかったが、DWSのSDと合計スコアとの負の相関は有意傾向であった(r=-0.14、P=0.099)。DWSやその日内変動が大きいとフレイルを抑制することが示唆された。特に、DWSは運動や口腔のドメインとの関連から、身体的フレイルやオーラルフレイルと関係する可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Maturitas
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