研究課題/領域番号 |
20K12754
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 泰岳 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (90324798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 圧力分布センサ開発 |
研究実績の概要 |
本研究では,既存のロボットシステムにも付加可能な,より安価で高密度,さらに柔軟性や通気性を持つ分布型接触感知型センサを開発し,物理的な接触を伴うヒューマン・ロボット・インタラクションをより身近なものにするためのハードとソフトウェアの基盤を確立することを目指している.ロボットによる自立支援や介護支援などの機能が期待される介護分野等において,ユーザーとの接触状態を正しく把握して適切に反応すること可能とするための重要な要素のひとつである圧力分布センサの実現を目指す. 本年度では,まず安価で高密度な圧力分布センサとして導電糸と導電性不織布を用いたe-テキスタイルセンサを設計・開発し,またそのセンサを制御するための電子回路を設計・開発した.具体的に開発したセンサは三つの層で構成されている.上層と下層は導電糸が縫い込まれた非導電性の布で,導電糸は上層と下層で互いに直向するよう縫い込み,その間に導電性不織布を固定した.この導電布は電流を印加された状態で圧力を加えると電気インピーダンスが変化するので,導電布を可変抵抗と見立て,非反転増幅回路を用いて圧力を検出する.これによってフレキシブルで通気性を持つ17x9点の検出点を持つ圧力分布センサを開発することが出来た. 開発した圧力分布センサの特性を各種実験により検証し,ヒステリシスはあるものの,圧力の変化を検出することが出来ることを示した.しかし,導電糸の縫い込みを手動で行っているため,品質のばらつきがあることもわかった.現在,その改良を検討している.また,その圧力分布センサの出力による接触状態認識技術の開発も進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に置いて,当該年度はまず「接触感知マトリックス型センサの改良」を改良から評価までを行うことになっており,これを順調に行ってきた.しかし,より改良するアイディアが生まれているため,この改良を勧めているところである.また研究計画書では「接触状態の認識技術の確立」として当該年度は試作を行うと記述したが,実際,認識技術としてパターン認識や特徴量抽出の手法をテストしているところである.総合的に見て「おおむね順調に進展している」と言える.
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今後の研究の推進方策 |
圧力分布センサのより良い改良アイディアを実際に試し,その評価を行う.また,研究計画書に記載したとおり,接触状態の認識技術を確立し,コミュニケーションロボットへの応用に繋げていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた国内・海外出張が取りやめになったため. 布圧力分布センサの改良のために必要な材料購入や福井県工業技術センターの機材使用料等に使用していきたい.
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