研究課題/領域番号 |
20K12760
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
大西 謙吾 東京電機大学, 理工学部, 教授 (70336254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 義手 / 手指装具 / 手根関節 / 操作インタフェース |
研究実績の概要 |
本研究では,第2-5指の形態は対象物体の特性により受動的に決まるものであり,主体的に制御すべきは母指と手関節と考える.このため,母指中手手根(CM)関節と撓骨手根関節とを一連体とした多自由度化機構とした義手手先具と手指装具のメカニズムと操作インタフェースの構築が作業能力の再現に寄与するとの仮説を立てた.母指と手関節の機能が中心の人工の手のデザインを提案し,手の把持・操り機能を代替・補填する道具としての義手・上肢装具の効果・効率・満足度向上を目的とする. そして,母指CM関節と撓骨手根関節を一連帯とする機構の手先具・手指装具のデザインと,各々の特性に合わせたケーブル制御系と筋電制御系の操作インタフェースを構築する.被検者が操作した際の義手手先具・手指装具の機能性・作業性評価を調査し,有用性を検証する.そのため,1)母指と手関節主体の人工の手のデザインとして,母指と手関節を一連帯とした多自由度機構に,第2-5指の屈伸と内外転機構が付与された手のメカニズムを設計,2)メカニズムを実装した義手手先具と手指装具の機構設計,これらに適したケーブル制御系,ならびにパターン識別筋電制御系の2つの操作インタフェースの構築,3)提案する義手手先具と手指装具ならびにその操作インタフェースの作業能力評価を被検者実験により有用性を検証, を行う. 初年度は,研究計画時の作業の順番を入れ替え,A)手の三次元動作解析による母指CM関節と手関節の多自由度関節モデル作成と義手手先具・手指装具の設計仕様確定,B)母指CM関節と撓骨手根関節とを一連体とした多自由度化機構駆動機構と連結し動作する諸機構を統合したメカニズムの設計,C)母指・手関節動作・他指の動作パターン識別マルチモーダル制御系のハードウェア選定,D)パターン識別筋電制御系のソフトウェア設計と基礎実験,を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染抑制措置として,大学への入構制限ならびに出張制限等もあり,国内外の講演会の現地参加がなくなりオンライン開催への変更,ならびに研究打合せのための出張が実施不能となった.また,電子部品をはじめとする部品が入手困難もしくは大幅な入荷遅延,学内ものづくりセンターの閉鎖などの影響もあり詳細設計と試作の製作が実施不能となり次年度へ繰り下げ,操作インタフェースの基礎実験,調整を繰り上げるなど,作業と物品購入の順番を入れ替えた.また,オンライン講義への変更に伴い計画時に予定したエフォート配分が困難となり,研究協力者である研究室の大学院生,学部生の協力が登校制限により得られなくなったことで基礎的な機構設計,モーションキャプチャシステムによる母指と手関節の動作解析,母指・手関節動作・他指の動作パターン識別マルチモーダル制御系のハードウェア選定実験,パターン識別筋電制御系のソフトウェア設計と限られた被検者で基礎実験を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染抑制措置のため,出張には制限があるため,オンライン会議,ならびに感染が小康状態の際には,実地打ち合わせ,加工・組立,実験を行う.また,研究計画に従い, A)3D CADソフトウェアを用いた機構と部品の詳細設計,強度解析,改良設計,アセンブリモデルでの運動解析,B)義手ソケットならびに手と手指装具の採型・スキャン・3Dプリント,C)ディジタルケーブル制御系のハードウェア設計・調整,ソフトウェア設計・実験,D)手先具・装具の引張・疲労等の工学試験,E)三次元動作解析装置を用いた手先具・手指装具の機構の動作解析,を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染抑制措置のため,研究計画時に想定したエフォートを実施できなくなったこと,旅費,学会参加,謝金,外注加工等などの支出が困難になったことから,執行計画からの大幅な変更が生じた.また,3D CAD・CAE・CAMソフトウェアを用いた機構の設計・解析と試作のプリント/加工の進展にも支障があり,消耗品の購入についても変更が生じた.これに伴い,次年度使用が生じた.
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