環境センサと移動ロボットを連携させ、見守りを行うシステムの開発を行った。具体的には、設置したカメラから得られる画像を用いて人物を発見・追跡し、人物の姿勢や動きをもとに状況を確認する。そして、人物が倒れ、より詳しい状態の推定が必要であると判断された場合には、移動ロボットが自動的に人物の傍へ行き、呼吸状態などのバイタルサインの確認や通報を行うことを想定している。本研究では機械学習の技術を取り入れ、見守りシステムの認識性能を向上させることを目的とする。 2022年度の実績として、以下の3点が挙げられる。 ①呼吸推定方法の改良:これまでの方法では、機械学習を行う際に大量の呼吸データとノイズデータが必要なことや、未学習者に対して認識精度が低下することが課題であった。そこで、ウェーブレット変換を用いて呼吸時の周波数解析を行い、呼吸データのみをオートエンコーダに学習させて呼吸推定を行う方法を開発した。 ②人物の姿勢推定方法の改良:画像を用いて人物の姿勢推定を行うため、服装や体格の違いに対する汎用性を高める方法について研究した。Kinectを用いて人物の骨格情報を取得し、画像に骨格情報を追加することで、未学習の人物に対する認識率を向上させた。また、CNNを用いた姿勢推定の例として不審動作の認識を行い、学会発表を行った。 ③環境センサと移動ロボットを用いた見守りシステム:これまでの研究成果をまとめ、査読付き論文誌Journal of Robotics and Mechatronicsに投稿して採録された。天井カメラを用いて転倒人物の位置を推定し、ロボットを人物の近くに移動させて呼吸推定を行った。その際、障害物や転倒人物の高さ情報を天井カメラからロボットに伝えることで、正確な自己位置推定と安全な経路計画を実現した。
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