研究課題/領域番号 |
20K12768
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高取 良太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10351355)
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研究分担者 |
北條 達也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40298740)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脊柱側弯症 / 運動器検診 / 装具療法 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
令和4年度に同志社小学校5年生86名の児童を対象に,運動器検診実施に合わせて,対象に3Dスキャニングカメラとボディバランスモニターを用いた側弯症検診を実施した.従来の視診での評価を学校医に実施していただくとともに,体操着着用下に検診を実施した.検診結果については3次元画像とボディバランスモニターによる推定Cobb角を参考に,整形外科医2名での合議で判定した.学校医での検診では陽性者は0人であったが,本検診システムでは8人を陽性疑いと判定し,二次検診を勧めた.8人のうち2人が当院での二次検診を受診していただき,Cobb角は8度と13度であり,一人が側弯症の基準を満たし,外来経過観察予定になった.学校側と調整し,次年度の実施日程を決定している. 側弯形態に関する三次元画像解析の研究では,手術療法を行った思春期特発性脊柱側弯症患者18人と脊椎疾患以外で腹部単純CTを施行された非側弯症例6人を対象として,腰椎カーブの特徴を定量的に示した.側屈角は頂椎付近で最大となり,軸回旋角は頂椎で小さく,終椎で最大となり,軸回旋方向の対側へ側方偏移し,頭尾側で短縮した.また側方偏移量量と椎体軸回旋角が相関し,腰椎カーブの変形の重症度が決定されることを明らかにした. 装具療法に関する研究では,既存の装具療法を側弯形態に基づいて,初期矯正効果,治療成績を評価し,胸椎カーブでは側弯形態による相違を認めなかったが,腰椎カーブでは側弯形態によって相違があることを明らかにした.さらに骨成熟後の思春期特発性側弯症患者の腰痛に対する新しい装具療法の導入初期の治療成績をまとめ,腰痛軽減効果を認めるとともに,装着時には腰椎カーブと腰椎前弯角の軽度減少効果を認めたことを報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のため,運動器検診実施を含めて遅延を生じていましたが,本年度より検診活動を実施しました.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の経験,反省を活かし,検診2年目の実施を行う.二次検診受診率向上のために,保護者,児童に対する配布資料を工夫する.検診陽性者のフォローアップについても可能であれば6年生時に本システムによる再検査を検討している.引き続き側弯形態に関する三次元画像解析,装具療法の治療成績,装具開発に関するデータ収集,解析を行い,検診活動と相互補完する研究と並行してすすめていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大による運動器検診の遅延により本年度から実施できましたが,実質初年度にあたり,次年度に使用額が生じました. 使用計画:本年度同様に,次年度に検診事業に必要な人件費を含む検診費用,物品,消耗品,装具作成費用,学会発表旅費,論文英文校正費用などに使用予定です.
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