研究課題
2022年度は、自己調製したpH粘度可変型栄養剤の人工胃液(pH1.2)による(胃内)凝固において、「離水が生じ難いpH粘度可変型栄養剤の自己調製手法」を確立するために、離水防止を目的に人工胃液の影響を受けないキサンタンガム増粘剤を原料である各種液体栄養剤へ添加した。まず、高純度キサンタンガムを濃度1%となるように添加したところ著しく増粘することが判明したため、これまで利用実績のある市販のキサンタンガム系増粘剤(ネオハイトロミールⅢ)へ変更し、濃度の影響を調査して添加濃度を0.5%と決定した。つづいて、これまでの研究成果である3種類のアルギン酸ナトリウム凝固剤(高分子量のI-3,低分子量のIL-6,低分子量かつゲル化能の低いIL-6M)を前述したキサンタンガム系増粘剤を添加した液体栄養剤へ加えて各種試験を行った。結果、アルギン酸ナトリウム凝固剤の種類に応じ液体栄養剤との反応は異なることが判明した。特に経腸栄養ポンプを用いたカテーテル移送では、設定流量400mL/hのところ、アルギン酸ナトリウム凝固剤と液体栄養剤の組み合わせにより400~63mL/hと幅広く変化した。一方、人工胃液との凝固反応は2020年度の研究成果のとおり乳タンパクが含まれる液体栄養剤のみ凝集・凝固し、さらに凝固剤種類に応じ[凝集]IL-6M<IL-6<I-3[凝固]という傾向が得られた。以上の結果より、離水が生じ難いpH粘度可変型栄養剤の自己調製にはIL-6M凝固剤の利用がふさわしいと結論づけた。なお、離水防止のための脱水操作と製剤化の試みとして「噴霧凍結乾燥造粒ユニット」を購入し予備試験を行ったが、研究時間が足りず今年度の成果は得られなかった。また、調製条件のデータベース化やホームページの制作にも時間が割けなかったことから、今後も継続して研究調査を進め・情報発信する予定である。
研究者又は所属研究機関が作成した訳ではないが、科研費で購入した音叉振動式レオメーターのユーザー事例紹介として本研究の取り組みが(株)エー・アンド・デイのホームページに紹介されている。https://aandd.co.jp/products/testmeasurement/analytical/sv_academicarticle.html
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Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan
巻: 29 ページ: 228-236