血液透析では血液を透析装置に引き出す脱血,体内へ戻す返血のルートを確保するため,体表より穿刺して血管にカニューレを留置する.穿刺の確実性の向上は,患者負担の低減や治療成績に直結する.本研究では,穿刺の技量を穿刺針の動きと力に見る特徴により定量化することを試みた.穿刺針に搭載可能な小型センサによる方法を提案した.模擬皮膚血管モデルに対する実験室実験にて,豊富な臨床経験を有する熟練者と未習熟者の比較において本法の有効性を検討した.事前所見を含む一連の穿刺過程に対し,針の3次元姿勢,把持特性,穿刺針に加わる力といった運動力学的な観点から技能の差異を検出し,熟練者の巧緻性を特徴化できることを示した.
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