研究課題/領域番号 |
20K12774
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研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
青代 敏行 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (40571849)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リンク機構 / 運動解析 / 拇指 |
研究実績の概要 |
促通反復療法を実現可能な手指リハビリテーション機器において,各指の自由度を拘束せずに各関節可動範囲を制限しない機構が求められる.しかし,先行研究で開発した手指リハビリテーション機器は,拇指運動を屈曲伸展運動のみに限定し,示指~小指の4指の内転/外転運動を拘束していた.そこで,指の全自由度を拘束しない各指支援機構の検討した. 拇指は,屈曲伸展運動に加えて対立運動によって物体把持を行っており,対立運動は拇指が他の手指に向かい合う運動で物体把持のためには欠かせない運動である.拇指用機構の原動節関節構造を球関節とし,また手に固定する装具を検討した.また,それらが拇指の可動域に対する影響について3Dモーションキャプチャを用いた運動解析による定量評価を行った.その結果,リハビリテーション機器装着時にヒト把持動作を実現するためには,厚さ2[mm]の熱可塑性ポリウレタン(TPU)製拇指機構取り付け部を採用すること,球関節の可動範囲を拡大することが有効であるとわかった.しかし,TPU製拇指機構取り付け部を機器に採用した場合,球関節の可動域拡大によるヒト把持動作の実現は難しいことが明らかになった.一方,示指~小指の4指に関して,これまで拘束していた内転/外転運動は,受動的に行っていることに注目し,中手指節関節の直上に各指の原動節駆動軸とは別に回転軸を設けた.拇指と同様な運動解析による評価を行った.その結果,示指~小指の4指の各指関節可動範囲を満たすことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に対して,提案する手指リハビリテーション機器の仕様を満たすために拇指を含む各指用原動節の関節構造を再検討した.3次元CADを用いた機構解析および機器装着時に対する3Dモーションキャプチャを用いた運動解析より,設計仕様を概ね満たしたことを確認した.これらから本研究において,一部研究計画より遅れているものの概ね研究計画の通りに一定の研究成果が得られたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
本研究で再検討・開発した各指運動支援用リンク機構および関節構造を用いた手指リハビリテーション機器の機構の機構運動モデルを構築する.そのうえで,本研究で未実施となった運動モデルベースを構築する.また,促通反復療法で重要とされる手首の屈曲伸展を実現する運動アシスト機構を構築する.そして,3Dモーションキャプチャおよび筋電位計測による装着・運動時の運動解析を実施して,定量的に機構・支援装置の妥当性を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響を受け,研究成果を発表する学会等が中止となり,旅費として支出することが出来なかった.そのため,物品費で計上,支出した.その結果,次年度繰り越し金が生じた.生じた繰越金は,少額であるため,物品費および旅費に振り当てる予定である.
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