研究課題/領域番号 |
20K12779
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 法政大学 (2022-2023) 慶應義塾大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
佐藤 真人 法政大学, 文学部, 准教授 (90839218)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デカルト / 自然本性 / 神 / 自己原因 / 類比 / 表面 / 情念 / 心身合一 |
研究成果の概要 |
後期デカルト哲学における自然本性概念の現れを次の点から分析・解明した。1)認識論からの分析。精神のうちにある自然本性的な認識方法として、『規則論』以来デカルトが使用する類比を自身の形而上学の論証(神が自己の原因であること)に適用したこと。 2)神学と自然学からの分析。化体によってパンがキリストの身体に聖変化した後も、パンの「表面」の残存により、われわれにはパンとして感覚認識できることが、デカルト自然学によって論証可能であること。 3)人間学からの分析。デカルトにとって精神的な愛と情念の愛はトマス・アクィナスのように区別されず、心身合一体としての「私」の自然本性に固有の同じ一つの愛であること。
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自由記述の分野 |
哲学・倫理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義として以下が挙げられる。1)前期デカルト哲学では生得的な真理による認識方法として、基礎づけと自然学解明のために用いられた自然本性概念が、後期には神学や人間学にまで拡大適用されていることを示した。 2)認識論から形而上学・自然学・神学・人間学を含む広範囲なデカルト哲学において、神によって与えられた自然本性という鍵概念が一貫して見出され、一つの横断的連鎖を成して体系構築に寄与していることを示した。 3)デカルトは晩年まで多様な角度から自然本性について考察、ないし自然本性概念を基に問題を考察していたことを明らかにし、西洋自然思想史におけるデカルトの位置づけを再考するための基点を示した。
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