• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

カント人種理論の近代的位置付けと現代的意義

研究課題

研究課題/領域番号 20K12783
研究機関神戸大学

研究代表者

李 明哲  神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (00758485)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードカント / 地理学 / 人間学 / 人種概念 / 合目的性 / 目的論的判断力
研究実績の概要

カント人種論とカント批判哲学との関連についての考察は、昨年度でいったん区切りをつけた。今年度は、前年度の成果を踏まえ、カント人種論は、近代および現代において、いかに位置付けられるのかについて、さらなる探求をおこなう準備に費やした。
具体的な問いとしては、第一に、カント歴史哲学の研究と、カント人種論における「自然史」概念をいかにむすびつけて解釈できるのか。第二に、カントが地理学講義からはじめ、1772年からの人間学講義の開講、1775年から1788年までの人種論文の発表、そして1790年『判断力批判』にいたるまでの、カントの生物学的関心の形成・維持には、当時のどのような学術的影響が指摘できるのか。第三に、カント人種論の考察を踏まえて、近代から現代にかけての社会的構築物としての「人種」概念の使用について、分析を加え、「人種」概念にかんする反人種差別的な現代的意義をいかに論じることができるのか。
上記の第一にかんしては、「自然史」概念を切り口として、カントの歴史哲学と人種論をつなぐ議論については、この科研費のテーマを超えていると判断し、今後の研究課題として取り扱うことにした。他方で、第二にかんしては、人間学開講時のE.プラトナーへの反発や、1780年代以降のブルーメンバッハからの思想的影響やその議論内容の異同をテーマとして、現在、カント研究会による共著出版用の原稿を進めている。本年度は、この執筆者エントリーやオンラインでの共著者間の打ち合わせなどをおこなった。また、カント協会2023年度大会にて、カント地理学にかんする共同討議をおこなうことになり、こちらも討議者および司会者と打ち合わせを進めている。第三にかんしては、2023年2月に、関連する研究会で発表をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、冬に発表一本と業績そのものは少なかった。ただ、昨年度に掲載決定した論文の校正が初夏まで伸び、来年度に向けて、共著出版のエントリーおよび打ち合わせ、学会大会での関連テーマの討議に向けての打ち合わせなどを進めて来た。今年度は、一年延長していることも踏まえてやや遅れていると言わざるを得ないが、来年度に取り返すための構想は整っていると考える。

今後の研究の推進方策

第一に、1770年代から90年代までのカントの生物学的関心の形成・維持には、当時のどのような学術的影響が指摘できるのかという論点で、論文執筆をおこない、カント研究会による共著出版を年度末頃おこなう。また、この論点には、カント地理学の多様な解釈の可能性も含まれており、そのテーマで、11月のカント協会大会で共同討議をおこなう。
第二に、カント人種論の考察を踏まえて、「人種」概念にかんする反人種差別的な現代的意義をいかに論じることができるのかという論点で、応用哲学関連の学会発表ないし論文執筆をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

学会発表および論文執筆のために、関連図書・論文などの資料の購入が必要となる。また、研究会や学会への参加のため、旅費が必要となる。国内だけでなく、海外(ドイツ)での学会発表も予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 「『人種』概念における循環論― 歴史的・認識論的・応用アプローチの可能性」2023

    • 著者名/発表者名
      李明哲
    • 学会等名
      「行為論パラダイムから見た在日朝鮮人研究の新展開―存在概念としての理解を超えて」二国間交流事業共同研究 第2回研究会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi