| 研究課題/領域番号 |
20K12785
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| 研究機関 | 藤女子大学 |
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研究代表者 |
上原 賢司 藤女子大学, 文学部, 准教授 (40826179)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | グローバル正義 / 分配的正義 / 天然資源 / 平等主義 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、現代の政治理論における天然資源の位置づけの明確化および批判的検討を行った。具体的には、Ｃ・アームストロングの平等主義的な天然資源の分配論、Ｍ・ムーアの集団的自己決定に関連付けられた天然資源の正義論、そして化石燃料をめぐる現実の不正な関係に焦点を絞るＬ・ウェナーの議論およびそれら周辺の先端の研究の調査を中心に行った。時間と紙幅の関係で前者二者への限定となってしまったが、本年度の研究成果は3月の政治経済学会にて報告した。
本年度の研究成果について、論文としては現時点で未公開のため詳述は避けるが、とりわけ重要な成果といえるのは次の点であると考えている。天然資源をめぐる現今の政治理論は天然資源を財の平等や土地といった別の価値の派生としてしか考慮できていないという点、それゆえ、様々に分類可能な天然資源の性質に沿った説得的な権利義務の主張には結びついていないという点である。
本年度の研究は、本研究の目的を遂行するにあたって不可欠となる地固めとしての意義を有することとなった。すなわち、申請者のこれまでのグローバル正義論研究の成果と天然資源をめぐる正義論とを結びつけるにあたって、現在進行形で研究が進展している英米圏の同様の議論の到達点と限界とを見極める成果となった。
本研究の実施計画に照らすと、未発表の論考が多くなってはいるものの、実施計画の半分の進捗状況となったと判断できる。この状況を踏まえて次年度では、最新の同分野の研究を押さえつつも、各研究雑誌に投稿していくための成果の出力により専念していく予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時および研究開始年度に想定していなかったコロナ禍により、研究の進捗状況は残念ながら依然として順調とはいえない。とりわけ、コロナ禍対応により教育を中心に学内業務の負担が重くなった点、そして、当初予定していた国内外での研究調査や交流を取り止めざるを得なかった点が進捗を妨げる要因となっている。
ただし、本研究の申請を試みた当初と比べて英米圏での同テーマの研究がかなり進んでいる点は、申請者自身で新たに調査すべき論点を省略させるよう作用していると考えられ、それゆえ研究進捗にはプラスに作用しているとみなせる。その点を考慮して、区分としては「やや遅れている」に設定した。
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| 今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」でも触れたように、今後は出力に重点を置くべき段階に至っている。そのため推進方策としては、論文執筆のための時間と余力の確保、研究者との意見交換の場の確保が最重要であると考える。ただし、当初予定していた国外渡航による研究が極めて難しい状況となっているため、その代替とすべく引き続き最先端の英米圏の研究を追っていく必要もある。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
申請段階での使用計画では本年度に国外研究調査を予定していたものの、コロナ禍の状況によって断念せざるをえなくなった。次年度使用額が発生した主な理由はこれによる。
それを踏まえて、次年度は論文作成の補助（必要書籍の購入や英文校閲）ならびに現段階である程度見通しの可能となった国内の各研究会への参加、報告、近接分野の研究者との意見交換や研究調査に重点的に充てていく予定である。
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