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2022 年度 実施状況報告書

フランス現象学の領域横断的展開を踏まえた対話の哲学の系譜学的再編

研究課題

研究課題/領域番号 20K12793
研究機関神奈川大学

研究代表者

佐藤 香織  神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (50839404)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードレヴィナス / ローゼンツヴァイク / リクール / ユダヤ思想
研究実績の概要

本年度は、当該研究に関す2冊の共著出版と1冊の共著出版準備(2023年4月出版)、『レヴィナス研究』4号への渡名喜庸哲『レヴィナスの企て』書評の寄稿、UTCPブックレットへの「対話」に関する論考の寄稿、2023年3月に東京大学東アジア藝文書院で開催された「故郷」に関するシンポジウムへのパネラーとしての参加、および日仏哲学会におけるリクールに関する学会発表といった成果を挙げることができた。
まず、『レヴィナス読本』において本研究者は編集委員の一員として書籍全体の構成に関わりつつ、基本項目「女性的なもの」、著作解題『タルムード4講話』および論考「レヴィナス とユダヤ思想」を担当した。その中で本研究者は「女性的なもの」をめぐってレヴィナスに提起される問題を整理し、タルムードへのレヴィナスの視点を確認した上で、リトアニア・ユダヤ思想およびドイツ・ユダヤ思想とレヴィナスの哲学の関わりを具体的に示した。
弘前大学出版会からは、『戦うことに意味はあるのか[増補改訂版]』『見ることに言葉はいるのか』の二冊の論集に寄稿した。『戦うことに意味はあるのか[増補改訂版]』(2023年2月)では編集としても出版に携わった。本研究者は、2017年の版から大幅に修正を加えた論考第7章「「戦争」に先行する「平和」ーーレヴィナス『全体性と無限』における「平和」概念の二義性から」、2017年の版をそのまま採用したフランツ・ローゼンツヴァイクに関するコラムを再掲載した他、新たにエマソン『代表的人間』第1章の翻訳と改題を新たに寄稿した。続く論集『見ることに言葉はいるのか』では、ローゼンツヴァイクに関する原稿を2本、寄稿した。
日仏哲学会では、「信仰」に関するリクールのあまり参照されてこなかった論考に着目し、その意義を考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、複数の共著の出版、シンポジウムや学会への参加などを通じて本研究における「対話」の問題と関連する諸問題についての考察を深めることができた。とりわけ、レヴィナス と関連する思想家たち、具体的にはローゼンツヴァイクをはじめとするユダヤ思想、エマソン、リクールの思想の検討を通じて、本研究の問題の関連で捉えるための基盤を作り、問題の掘り下げを行うことができた。これは本研究計画の内容に準じており、本研究は概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

後期レヴィナスの、現象学的時間論およびタルムード読解が示す時間論とローゼンツヴァイクの聖書翻訳論が示す時間論の比較研究から両者の言語に関する議論の研究を進めていく。この研究を20世紀の対話に関する哲学史のうちに位置づける作業を進め、最終年度のためにまとめていく。

次年度使用額が生じた理由

出版予定が遅れている著作があり、その著作の出版に使用するための金額を次年度使用額に割り当てることになった。
オンラインの学会参加が増えたため遠方の学会に参加することがほぼなくなった。
次年度には対面での参加を考えているため、旅費を使用する予定がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「創造」の具体化ーー渡名喜庸哲氏『レヴィナスの企て』の読解2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤香織
    • 雑誌名

      レヴィナス研究

      巻: 4 ページ: 75-90

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 〈敵対者〉と〈対話者〉2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤香織
    • 雑誌名

      共創のためのコラボレーション UTCPブックレット

      巻: 15 ページ: 102-105

  • [学会発表] 〈離散〉を意味づける集合的記憶2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香織
    • 学会等名
      東京大学東アジア藝文書院、哲学論集研究会(弘前大学西洋倫理思想史研究室)
    • 招待講演
  • [学会発表] リクールにおける無神論の媒介的位置づけ2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香織
    • 学会等名
      日仏哲学会2023年春季大会
  • [図書] 戦うことに意味はあるのか[増補改訂版]――平和の価値をめぐる哲学的試み――2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香織・遠藤健樹・横地徳広・信太光郎・宮村悠介
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      弘前大学出版局
    • ISBN
      9784910425047
  • [図書] レヴィナス読本2022

    • 著者名/発表者名
      レヴィナス協会
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      4588151282

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公開日: 2023-12-25  

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