2023年度は論文発表、および口頭発表、また現在査読進行中の論文投稿において複数の成果があった。これらはまた同時に研究期間全体を通じての研究の成果ともなっている。まず、本研究の中心的な主題であるカント倫理学のヘーゲルからの批判について論文「ヘーゲルのカント批判を再考する――「最高善」と「無限の進歩」――」(日本哲学会編『哲学74号』二〇二三、二二六―二三九頁が発表された。続いて、同じヘーゲルのカント批判を彼らのプラトン受容という視点から論じた「カントとヘーゲルにおけるプラトン受容の問題」が東京都立大学哲学会全国大会において学会発表された。同発表は2024年度東京都立大学哲学会刊行学会誌『哲学誌66号』において論文として刊行される予定である。また、カント美学とヘーゲル美学を比較した"The Aesthetic Idea and the Supersensible in Kant and Hegel. The feeling of beauty in the system of philosophy"が10th Multilareral Kant Colloquium において学会発表された。同論文はまた現在、論文として発表されることが用意されている。これら既に発表された成果に加え、カント哲学における「知的直観」概念を通じたヘーゲルの批判を問題にした論文 "Intellectual Intuiton as New Prac;cal Reason? Hegel’s Critque of Kant’s Ethics Reconsidered"が2024年度中に刊行予定である。また、ヘーゲルのカント批判を社会哲学の視点から問題にした論文「カントとヘーゲルにおける貧困の問題」が現在査読審査中である。
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