研究課題
以下、本年度における報告者の研究経過および研究実績の概要について記す。(研究経過)本研究課題「現象学における包括的カント解釈・批判史の構築と現象学的な超越論的哲学の体系的解明」は、以下3点の個別の研究計画からなるものである:①「フッサールにおける『純粋理性批判』の「超越論的感性論」を中心としたカント解釈・批判とフッサールにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。②「ハイデガーにおける『純粋理性批判』の「超越論的分析論」を中心としたカント解釈・批判とハイデガーにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。③「フィンクにおける『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」および「超越論的方法論」を中心としたカント解釈・批判とフィンクにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。本年度は、当初は、①の作業に従事する予定であったが、結果として、①、②、③の作業を並行しておこなうこととなった。①に関しては、主にフッサールにおける超越論的哲学およびカント解釈批判の鍵となる、現象学的な「感性」概念と志向性概念の関連の解明をおこなった。第2年次に実施予定であった②に関しては、ハイデガーのカント解釈に関する先行研究の読解および主著『存在と時間』における超越論的哲学の理念解明のための文献読解作業に着手した。3年次に実施予定であった③に関しては、フッサールとフィンクの超越論的哲学の理念の解明に関する論文の出版や、フィンクのカントにおける「超越論的弁証論」解釈を扱う論文の投稿準備をおこなったが、結果として、最も研究が進展し、当初第3年次に予定していた研究の大部分(特に、フィンクにおける「超越論的弁証論」解釈・批判に関する研究)を完了した。(研究実績)本年度は、研究成果として単著論文2点(うち1点は査読付き)を公開しており、量的にみても十二分に満足すべきものであるといえる。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、上述のように、①「フッサールにおける『純粋理性批判』の「超越論的感性論」を中心としたカント解釈・批判とフッサールにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」に集中する予定であったが、③「フィンクにおける『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」および「超越論的方法論」を中心としたカント解釈・批判とフィンクにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」に関連する論文投稿準備などもあり、結果として、当初、2年次、3年次に実施予定であった研究内容も並行してここなうこととなった。特に、第3年次実施予定であった③の作業は、関連する論文投稿準備などもあり当初の予定の大部分を終えることができた。コロナ禍に起因し、本務校の夏季休業期間が1週間弱しかないなど、研究時間確保は困難を極めたが、2点の単著論文を公開するなど、一定以上の研究成果を公開することができた。これらのことから、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
(令和3年度)令和3年度には、①「フッサールにおける『純粋理性批判』の「超越論的感性論」を中心としたカント解釈・批判とフッサールにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」、および②「ハイデガーにおける『純粋理性批判』の「超越論的分析論」を中心としたカント解釈・批判とハイデガーにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」を並行して実施しする予定である。(令和4年度)令和4年度は、上述のように、当初同年度に実施予定であった③「フィンクにおける『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」および「超越論的方法論」を中心としたカント解釈・批判とフィンクにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」は当初予定していた研究の大部分を終えたことから、①および②の研究作業の継続および、その研究成果公開に従事するものとする。。
コロナ禍により、出張旅費申請・執行が一切生じなかった為、次年度使用額が生じた。次年度使用額に関しては、本務校での研究実施の為に必要な書籍購入に充てるものとする。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (2件)
Husserl, Kant and Transcendental Phenomenology
巻: 1 ページ: 455~478
10.1515/9783110564280-021
Phaenomenologie und Oekologie
巻: 1 ページ: 49~67