(研究経過)本研究課題「現象学における包括的カント解釈・批判史の構築と現象学的な超越論的哲学の体系的解明」は、以下3点の個別の研究計画からなるものである: ①「フッサールにおける『純粋理性批判』の「超越論的感性論」を中心としたカント解釈・批判とフッサールにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。 ②「ハイデガーにおける『純粋理性批判』の「超越論的分析論」を中心としたカント解釈・批判とハイデガーにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。 ③「フィンクにおける『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」および「超越論的方法論」を中心としたカント解釈・批判とフィンクにおける超越論的哲学の内実の体系的解明」。 最終年度は、計画開始当初の予定では③の作業に従事することとなっていたが、これに関しては前年度までに予定の研究を終了していたことから、上記①、②の課題に引き続き従事することとなった。①に関しては、主にフッサールにおける超越論的哲学およびカント解釈批判の鍵となる、現象学的な「アプリオリ」概念の解明をおこなった。②に関しては、1920年代後半のハイデガーの思想展開の解明作業に着手した。3年次に実施予定であった③に関しては、フィンクのカントにおける「超越論的弁証論」解釈を扱う査読付き論文の公刊をおこない、所期の目標を充分に達成した。 (研究実績)本年度は、研究成果として単著論文1点(査読付き)、編著著作への解題2点を公開した。また、全期間を通じて、単著論文を4点(査読付き3点)等を公刊しており、量的にみても満足すべきものであったといえる。
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