| 研究課題/領域番号 |
20K12802
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
一色 大悟 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (20806567)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 倶舎論 / 近世倶舎学 / 説一切有部 / アビダルマ |
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| 研究実績の概要 |
令和3年度には，近世倶舎学書の調査・収集及び科段の比較対象とする文献の選定作業を進めるとともに，昨年度に引き続いて科段のピックアップ作業を実施した．さらに科段情報をテキスト上にXMLによってマークアップする方法を検討したのち，実際のマークアップ作業を開始した．
近世倶舎学書の調査・収集については，本年度も新型コロナウイルス感染対策のため各大学図書館への訪問調査を行いえなかった．そのため，国文学研究資料館データベース及び各大学の貴重書目録等をもとに，各大学図書館等から本研究に有用と思われる23点を複写取寄した．あわせて各種のオンラインデータベースを活用し，倶舎学書諸本を閲覧・調査した．また昨年度の東京大学内調査にもとづき，総合図書館所蔵本からは尊実『倶舎論頌釈疏抄』の複写を入手するとともに，同図書館エリオット文庫本及び青洲文庫本の『倶舎論』書き入れ本を借出し，内容を吟味した．これらの作業を通じ，近世倶舎学書5本を科段の比較対象候補として選定した．
倶舎学書からの科段ピックアップ作業については，昨年度に実施した作業で得られた知見をもとに，本年度は『倶舎論』「根品」のなかでも科段が顕著に相違する第4巻に絞り，先に比較候補として選定した5本の倶舎学書から，科段ピックアップ作業を作業協力者とともに実施した．
以上の研究を踏まえ2021年度後半より，科段情報のXMLによるマークアップ方法を検討した．その結果，倶舎学書に記述された『倶舎論』の科段情報部分をマークアップした後，それと紐づけつつ『倶舎論』そのものへの科段情報のマークアップを行うこととした．そこで特に複雑な科段情報を含む法宝『倶舎論疏』第4巻を試行対象として，科段情報マークアップを作業協力者とともに行なった．
以上の研究によって得られた成果の一部は，学会報告・論文として発表した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度も新型コロナウイルスの感染拡大のために，京都方面への調査旅行を実施しえなかったものの，旅費を複写取寄にあてるとともにオンラインデータベースを活用することで，十分な点数の倶舎学書について，内容を実見しえた．さらにそれらから選定した諸本の科段ピックアップ作業とXMLマークアップ方法の吟味を行うのみならず，マークアップ実施を開始することができた．
したがって，研究はおおむね順調に進展していると判断する．
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| 今後の研究の推進方策 |
令和3度に引き続き，普光『倶舎論記』「根品」科段のXMLマークアップを実施する．並行してさらなる近世倶舎学書の調査を実施することで比較対象となる近世倶舎学書を絞り込み，同文献について科段についてXMLマークアップを行う．以上のデータをもとに普光『倶舎論記』と他文献の間で科段を比較し，各文献の性格を推定する指標となる箇所と，その分析の手法について検討する．
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