研究課題/領域番号 |
20K12821
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
梶原 直美 関西学院大学, 教育学部, 教授 (90310680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 徳 / 信仰 / キリストの模倣 / 善 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人間の「徳」という側面をとらえ直し、その「徳」が、たとえば祈るといった宗教的行為や宗教性によって涵養され得るのかという問いを立て、それに応えることである。「徳」に注目したのは、現代社会においていのちの尊厳や多様性に対する寛容さが課題として共有されるなか、社会のあり方に関わる人間のあり方を問うことの重要性を強く認識するからである。人間は、それぞれ主体的存在として、自他のいのちを尊重してはぐくむ徳性を、いかなる内発的な性質として持ち、いかにしてそれを涵養することが可能であるのか。そしてそれは宗教性とどのように関わるものであるのか。 2021年度は、この問いに向けておもに、2-3世紀の古代キリスト教思想家オリゲネスに焦点を当て、資料や文献を用いた研究を行った。 オリゲネスは、キリスト教信仰者であるとともに、学問一般や聖書について熱心に研究し、人々に講じる立場にもあった。その門下生であるグレゴリウス・タウマトゥルゴスは、彼の著した『謝辞』のなかで、師であるオリゲネスの学問的姿勢や生き方について、感謝や驚きとともに言及している。ここに、オリゲネスの「徳」の一側面を認識することができる。 この点について、2021年度は、オリゲネス自身が徳をどのように価値づけていたのか、また、オリゲネスの信仰と徳の実践がどのように関連しているのかに焦点を当てて研究をおこなった。この研究は、『宗教と倫理』21号に投稿し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、本研究は、古代キリスト教教父オリゲネスの神学に関する文献研究およびドイツ・ディアコニーに関する文献研究と現地調査を主要な研究項目として挙げていた。しかし、COVID-19の感染拡大による影響により、渡航が困難となったため、現地調査については未実施の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツ・ディアコニーへの訪問は、未だ渡航に関する制限が完全に解除されないため、まずは当該団体の日本国内における関連施設について、訪問および資料収集による研究を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、COVID-19の影響により、ドイツへの渡航を中止したことから、旅費および人件費等の執行に至らず、大幅な繰り越しとなった。 2022年度についても渡航について確実な見通しが立たないが、まずは、ドイツ・ディアコニーの影響により日本国内で形成ないし運営されている団体や人物について、訪問およびインタビュー調査などを計画しており、少なくともこれについて旅費等を執行する見込みである。
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