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2021 年度 実施状況報告書

江戸時代の愛知県津島市周辺に展開した多色摺木版画の技法材料および出版状況の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12860
研究機関東京藝術大学

研究代表者

大和 あすか  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (30823752)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード錦絵 / 津島 / 地方版画 / 色材 / 技法材料
研究実績の概要

江戸後期から明治期にかけて津島市周辺で制作された浮世絵版画(以下、津島版画)18点について、蛍光X線分析、蛍光測定、分光反射率測定を中心とした色材分析とマイクロスコープ、厚み計等を用いた支持体の紙質調査を行った。
津島版画などの地方で制作された多色摺の浮世絵版画は、江戸錦絵と共通する材料や技法が用いられているものと考えていたが、津島版画には江戸錦絵とは一部異なる彩色材料が用いられていたことが明らかとなった。また、津島版画は津島尾張天王祭を画題とした団扇絵の形式をとるものが多く、江戸錦絵にみられる一般的な大判の規格よりもさらに大型の版画が多く、現存する版木についても江戸錦絵の版木と異なる寸法のものが多く制作されていたことを確認した。
また、津島版画の制作年代の推定には、今まで図像や形態から大まかな年代を推測する方法が取られていたが、色材調査を行うことで、天保期(1830)以前、天保期から嘉永期(1830から1853)半ば頃、嘉永期から明治初め(1848から1868)頃、明治期(1868)以降と制作年代を分類できる可能性があることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症の状況から、津島版画を収蔵する施設での調査を見送ったため。

今後の研究の推進方策

津島版画の調査点数を増やしていく予定であるが、同時に名古屋版画からの影響や関連性についても調査して行く必要があると考えている。調査データについては、多くの研究者に利用していただけるように公開方法についても検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、コロナ感染症の状況から出張による調査を見送ったためである。本年度は昨年度に実施できなかった調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 錦絵の緑・紫の混色表現における青色色材の変遷について2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 230 ページ: 179-213

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 鳳凰堂昭和期復元扉絵「中品上生図」右扉の下地に関する科学調査2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか, 荒井経
    • 雑誌名

      鳳翔学叢

      巻: 17 ページ: 263-270

  • [雑誌論文] 打紙再現試料から繊維の形状と表面の粗さを見る2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか, 鈴木七実
    • 雑誌名

      書物学 第19巻 紙のレンズから見た古典籍

      巻: 19 ページ: 50-55

  • [学会発表] 嘉永年間の役者絵に用いられた石黄の分析2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか, 塚田全彦
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第43回大会

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公開日: 2022-12-28  

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