研究課題
若手研究
明末清初(17世紀)に成立した地方の絵画様式のひとつ「安徽派」の形成と確立、発展について、①画風の選択意図、②人的交流、③郷里への顕彰意識という3つの観点を中心に、絵画作品と文献史料を精査することで考察した。結果、安徽の画家達は、醸成期(16世紀末)から、他の地方の画家達とも交流する中で、倣古学習や郷里への顕彰意識などをもとに、安徽ならではの絵画表現や画作における考えなどを見いだし、他とは異なる独自の絵画様式を作り上げようとした可能性が高いとわかった。
中国絵画史
美術史における普遍的な課題の一つといえる、絵画を生み出す「場」の重要性について、16世紀末~17世紀中国の安徽地方を視座とする一事例を提示した。また本研究を進める上で、これまで注目されてこなかった、あるいは未発見であった絵画作品等の資料について、研究発表や論文、関連する展覧会の開催等によってその史的位置を適宜発表、共有した。以上の研究成果は、今後中国絵画史をはじめとする様々な分野の研究をより深めるための資になると考える。