研究課題/領域番号 |
20K12882
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高橋 憲人 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 客員研究員 (30848312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | テクスティリティ / サウンドスケープ研究 / 素材性 / 生態学 / 美術教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域住民が生活環境のモノゴトを素材とし主体的に芸術を創造できる地域芸術プログラムの開発を目的とする。そのため、エコロジカルな音楽教育メソッド「サウンド・エデュケーション」の構造を造形芸術実践に応用し、包摂性の高いプログラムとして実装する。①まずは生活環境のモノゴトを素材とする芸術家の創作実践の分析により、素材とのエコロジカルな関わりの構造をモデル化する。②そのモデルを適用したワークショップの実施と参与観察により、地域住民が芸術創造のプロセスを経験できる汎用性、包摂性の高い実践を可能とする手法を明らかにする。③それを基に地域芸術プログラムの開発を行い、成果を広く社会に共有する。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で当初予定していた①の調査が出来なかったため、弘前大学教養教育の授業における参与観察、予定していた調査対象者に対するこれまでの事前調査結果の分析を行なった。前者については、「地域プロジェクト演習―アート・プロジェクト入門―」前後期2つのクラスにおいて環境の素材を題材にしたワークショップを実施し、自由記述によるアンケート、それに基づく聞き取り、ビデオ記録によるデータ収集を行なった。後者については、その成果を口頭発表「サウンドスケープは対象なのか―「サウンドスケープ概念への4つの異議」への異議―」として日本音楽教育学会第51回大会(10月17日、オンライン)、論文(査読あり)「素材とともにつくること―インゴルドのテクスティリティ論をもとに―」『美術教育』305号pp.28-37として示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響のため当初予定していた調査が出来なかったものの、研究成果を日本音楽教育学会第51回大会(10月17日、オンライン)で発表し評価を得たほか、論文(査読あり)「素材とともにつくること―インゴルドのテクスティリティ論をもとに―」が日本美術教育学会の学会誌『美術教育』に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、生活環境のモノゴトを素材とする芸術家である鈴木ヒラクを調査対象とし、彼の制作現場、パフォーマンス、美術大学でのワークショップでの参与観察・インタビュー調査を、素材性を重視する工芸家である新宮州三を調査対象とし、彼の工房での参与観察・インタビュー調査を行う予定である。これらの調査結果の分析により、素材とのエコロジカルな関わりの構造をモデル化する。また、これまでの成果を、The Becoming of Sounds in The Earth-Sky World: Against Tim Ingold’s “Four Objections to the Concept of Soundscape”としてThe 2021 APSMERでポスター発表し、Prpceedingsに論文として掲載予定である。
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