研究課題/領域番号 |
20K12883
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
臼井 昭子 山形大学, 有機エレクトロニクスイノベーションセンター, 産学連携准教授 (20842537)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 3Dゲルプリンタ / 学校教育 / 美術科教育 / スライスソフトウェア |
研究実績の概要 |
デジタル技術によってアートの表現手法は多様化している。子供たちも新しい技術を積極的に活用し表現する力が求められていると思われる。本研究では、造形教育における新しい表現手法の一つとして3Dゲルプリンタに着目した。子供が使いやすい3Dゲルプリンタの要件を明らかにし、3Dゲルプリンタがアート表現をどのように広げ、子供たちの表現力をどのように高めることができるのか検討する。 令和3年度は、(1)高校生を対象にワークショップ行い、美術科の立体造形の学習におけるTinkercadと3Dゲルプリンタの有用性について検討した。生徒らはゲルという材料と3Dゲルプリンタという造形方法に向き合い、その特徴をいかすような工夫を重ね立体造形に取りくむ様子が確認された。こうした生徒らの学習態度からは、3Dゲルプリンタが美術科の立体造形における学習目標の達成を支援できていたと考えられた。(2)授業で3Dプリンタを活用してもらうための検討の一つとして、スライスソフトウェアの評価も行った。学校における1人1台端末の整備は、2021年7月末時点で全国の96.2%の自治体で完了しており、端末のOSの内訳は、ChromeOSが最も多く40.0%を占めている。3Dプリンタを取り扱う際に必要なスライスソフトウェアはWindowsで動作するものが主流であるものの、児童生徒がChromeOSで作成した3DデータはChromeOSでGコード変換まで完成できることが望ましい。そこで、3Dプリンタを授業でより活発に使用してもらうための検討として、いくつかのスライスソフトウェアをChromeOSで動作させ、授業で使用する際の有用性などについて評価した。 関連する成果の発表として、査読付き国際会議発表1件、国内学会発表2件を行なった。国内学会発表の一つにおいて大会実行委員長賞を受賞。新聞3紙に研究活動の紹介が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVIT-19の影響で、出品を検討していたアートフェアの度重なる中止があったり、児童・生徒を対象にした実践の場を数多く設けることができなかったりしたものの、高校生を対象にしたワークショップでの実践やソフトウェアの検討を深め、学会発表を進めることができ、大局的には順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
3Dゲルプリンタを活用したアート作品制作のために、ゲルの造形素材としての表現の可能性を探るほかアートフェアなどへの出品を試みる。また、引き続き感染対策に十分留意しながら児童・生徒らを対象に3Dゲルプリンタを用いた表現活動の実践を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVIT-19の影響で、令和3年度に予定していた国際会議への出張等ができなかったことや実施できなかった実践研究に関わる消耗品や謝金等の支出がなくなったことによる。令和4年度に実施する際の費用として使用する。
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