令和3(2021)年度は、明治後期から昭和戦前期の東京音楽学校で実践された「オペラ」の上演について調査・考察・発表(学会における口頭発表および所属大学の紀要への論文投稿)をおこなった。 日本人による初のオペラ上演として知られる《オルフォイス》については令和2(2020)年度に先行研究の確認および一次資料調査・考察をおこなったが、令和3(2021)年度は前年に詳細な調査ができなかった資料(東京藝術大学に所蔵されている書き込み入りの楽譜)もあわせて検討することで当時の演奏実態をより詳細に追究した。(成果は2021年10月開催の「東洋音楽学会第72回全国大会」で口頭発表した。) また、昭和7(1932)年に東京音楽学校で上演された「学校オペラ」の《ヤーザーガー(Der Jasager)》について、写真資料や関係者(指揮者、聴衆)の言説に基づき上演実態を究明すると同時に当時の同校の教育状況をふまえて考察を深めた。(成果は『東京藝術大学音楽学部紀要』第47集53~67ページに掲載された。) さらに、東京音楽学校で作曲を学び、後年に《夕鶴》をはじめとするオペラの創作に取り組んだ團伊玖磨(1924~2001)についても公文書等を含む資料を調査する機会が得られた。(成果は2021年5月開催の「中日音楽比較研究及び團伊玖磨音楽創作研究国際学術シンポジウム」で口頭発表した。)
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