研究課題/領域番号 |
20K12894
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
平良 優季 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (10814296)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本画 / 琉球絵画 / 孫億 / 花鳥画 / 模写 |
研究実績の概要 |
本研究は、琉球絵画の師である孫億筆《花鳥図巻》(九州国立博物館蔵)の表現・技法・画材の観点から、本画の模写を行い、表現手法について解明することが目的である。琉球絵画作品の多くは、第二次世界大戦の影響で消失している。そのため「琉球絵画」の表現や技法、画材等の詳細については、未だ解明されていないことが多い。貝摺奉行所の絵師たちの師である孫億の《花鳥図巻》の表現・技法・画材を明らかにすることで、琉球の絵師たちがどのようにそれらを継承し、独自の技法を生み出したのか。「琉球絵画」の研究をさらに開拓していく上で、孫億作品の模写を行うことを目的としている。 研究対象である九州国立博物館蔵の孫億筆《花鳥図巻》の熟覧調査と模写のための原寸大の印刷、また模写のための墨線の上げ写し、先行研究や関連資料の収集を行うことを、今年度の目的にしていた。 昨今のコロナウィルスの影響で緊急事態宣言の発令やそれに伴う県外への渡航自粛等もあり、熟覧調査を控えた。研究対象の孫億筆《花鳥図巻》は、約7mの大作であり、作品の色味あわせと基底材の調査を行うことを目的としており、人手を要する。そのため、次年度のコロナの感染状況を見ながら行いたい。 今年度においては今できることとして、九州国立博物館から孫億筆《花鳥図巻》の高精細画像データをいただき、原寸大へのプリント、そこから薄美濃紙への墨線の上げ写しを行なった。 次年度は、今年度で行えなかった熟覧調査と基底材の製作、上げ写しを並行しながら行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨今のコロナウィルスの影響で、緊急事態宣言の発令やそれに伴う県外への渡航自粛等もあり、熟覧調査を控えた。 熟覧調査は、本研究にとって非常に要となる部分である。しかし、研究対象の《花鳥図巻》は約7mと大作の作品であるため、調査をするために時間や人手を要する。この調査では、特に色味あわせと基底材の調査を行うことを目的としており、時間と人手を要するため、換気と三密を回避する等を考えると、室内にこもる熟覧調査は今回は避けることとした。次年度のコロナウィルスの感染状況を見ながら行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては、予定していた通りの進行にならなかったため、今後の状況を見ながら1年の研究延長も視野に入れながら研究を進めていきたい。 研究の要となる熟覧調査においては、予定人数を減らし、回数を分けて調査を行うか、コロナウィルスの感染状況を見ながら、また収蔵館の九州国立博物館とも調整をしながら次年度中には行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度においては、コロナウィルスの影響により県外調査分の費用を使用しなかったため、次年度への使用額が多く発生してしまった。予定では、熟覧調査に織の専門家や熟覧補助のメンバー、総勢4~5名ほど予定していたが、その分の旅費や謝金等が多く、手付かずの状態になってしまった。 また、他の項目においても、熟覧調査結果を元に基底材の製作を予定していたが、今年度は熟覧が行われなかったため、その製作費が使用されなかった。
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