研究課題/領域番号 |
20K12896
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
早坂 牧子 東京音楽大学, 音楽学部, 准教授 (10807126)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 三浦環 / 冬の旅 / 演奏スタイル / 録音分析 / 訳詞 |
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度に引き続き国内外の三浦環関連資料を収集すると共に、三浦によるシューベルト《冬の旅》の録音(NHKアーカイブス所蔵)と訳詞の調査結果を公表した。日本音楽学会第73回全国大会 における口頭発表「三浦環の《冬の旅》:録音と訳詞にみる演奏の実際 」(2022年11月27日)では、三浦環の《冬の旅》演奏記録の概略を示し、三浦の訳詞と演奏の特徴について、実演を交え発表した。紀要論文「三浦環の《冬の旅》(1) : 訳詞と1946年録音に見る演奏の覚書」(『東京音楽大学研究紀要』第46集、2023年3月、pp. 43-59)では、上記の学会発表の内容をもとに、《冬の旅》第1曲~第7曲について、原詞、三浦の訳、録音聴取から分かった演奏の特徴についての覚書をまとめ、これを反映させたヴォーカル・スコアを資料として添付した。現在NHKの音源は一般公開されていないため、本稿が三浦の《冬の旅》演奏の実際を知る唯一のオープンアクセス資料である。 2022年度はまた、調査を通じて三浦環の親族、研究者との交流が深まり、多数の貴重資料・情報を得ることができた。中でも、本助成金により購入した三浦の遺品の扇について、夫・政太郎の死を悲しみ詠んだ歌が書かれていることが親族の協力で分かり、三浦夫妻の関係を示す新たな史料が確認ができたことは、収穫であった。 研究の結果を一般に還元する機会として、2022年10月4日山中湖村で開催された三浦環愛用ピアノ修復披露コンサートにて、研究者として座談会に登壇する機会を得た。生誕140年を記念する2024年に向け、引き続き研究を進めると共に、こうした一般向け成果発信の場を増やしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の状況は少しずつ改善してきたものの、職位変更による校務増加で研究時間が減少し、当初の計画より進捗状況にやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に引き続き《冬の旅》第8~16曲までをまとめた紀要論文を投稿予定である。なお、2024年の生誕140年を記念し、《冬の旅》を再現上演する企画が進行中である。引き続き受容調査に取り組み、三浦の演奏史について詳細なデータベースを構築すると共に、前年度に予定していた研究課題に関するホームページを開設し、三浦環に関する情報のプラットフォームをつくることを目標としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、《冬の旅》の訳詞・録音の分析作業とデータ収集の作業が比較的多かったため、当初予定よりも旅費・物品費の支出が出ず、次年度使用額が生じる結果となった。余剰分は、2023年度に開設予定のホームページの他、史料収集、新たに進む《冬の旅》公開演奏会の企画など、研究推進と研究成果公開の目的のため、有意義に使用したい。
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