研究課題/領域番号 |
20K12905
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
加畑 聡子 北里大学, 薬学部, 研究員 (20649339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 銅人形 / 経穴学 / 考証 / 折衷 / 江戸時代 / 江戸医学館 / 山崎宗運 / 3Dスキャン |
研究実績の概要 |
本研究は、江戸時代に経穴学教材として用いられた銅人形について、3Dスキャンを活用して科学的に検証することを目的として、銅人形研究と考証学研究を主軸として調査を進めている。中でも、寛政3(1791)年に官立された幕府直轄の医学校 江戸医学館で教諭を務めた山崎宗運(1751-1834)が製作した東京国立博物館所所蔵「銅人形」を、 当時における考証学の特質と見られる“考証”と“折衷”が体現されていると考え、もとは一式として製作されたと推察される「人体解剖模型」と併せた調査を試みている。 本研究では江戸時代に幕府によって設立された医学校である江戸医学館を当時における公教育と位置付けた上で、医学公教育形成期に製作、活用された銅人形について、諸派のものと比較検討し、考察を加えることで、当該時期の江戸医学館における考証手法の多様性について解明する。また、これまで根拠とされてきた文献調査に加え、科学技術を活用することで、「銅人形」が中国大陸からの伝来ではなく、山崎宗運による製作であることを、より確証的に国内外の学界に示すことを課題としている。具体的には、全国各地の銅人形を実見調査した上で、東京国立博物館所蔵「銅人形」ならびに「人体解剖模型」を、3Dスキャン等の測定器具を活用して科学的に検証することで、一分野からの観点に偏しがちであった従来の研究を補うとともに、江戸時代医学公教育形成期の江戸医学館における“考証”と“折衷”の実態についての総合把握に資することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、「銅人形」研究については、新型コロナウイルス感染症拡大状況の影響もあり、実地調査を行うまでには至らなかったが、過去に所蔵機関が撮影したCTスキャン画像の一部を入手し、非接触的な方法で調査を進めた。しかしながら、所蔵先から譲渡されたデータを専門業者と共に解析したところ、やはり直接の調査が必要という結論に至り、現在、再度調査を依頼している最中である。また、調査先の担当者の変更に伴い、再交渉が必要となったことも、調査が遅れている理由の1つにあげられる。 考証学研究については、これまでの「銅人形」研究の成果を含めて、「江戸時代経穴学における考証」と題して江戸時代医学考証学派顕彰会において口頭にて発表した。江戸期の考証学派における解剖図並びに身体観を踏まえた上で当時の経穴学における“考証”と“折衷”の態様を論証した。 新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた所蔵先への「銅人形」及び資料調査がかなわなかったことから、計画よりも進捗がやや遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
所期の「医学公教育形成期の江戸医学館における“考証”と“折衷”」の態様を明らかにすべく、銅人形研究と考証学研究を主軸としつつ、研究全体の有機的連関に配慮して進めていく。感染拡大状況を踏まえて可能な範囲で「銅人形」の実地調査を試みる。また、公開されている電子資料や購入した文献を活用した調査を併せて進めることで、挽回できるものと考えている。画像情報や文献調査により得られた知見については、引き続き、口頭及び論文等にて発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、「銅人形」研究については、新型コロナウイルス感染症拡大状況の影響もあり、実地調査を行うまでには至らず、専門業者への支払いが行われなかった。また、調査先の担当者の変更に伴い、再交渉が必要となったことも、調査及びそれにかかる費用の支出が遅れている理由の1つにあげられる。 今後、「銅人形」の3Dスキャン調査及び「解剖模型」との組み合わせ確認作業を行う予定があるため、それにかかる費用を確保しておく必要があり、あえて次年度使用額を残した。
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