19世紀後半から20世紀後半にかけての約百年間、日本(本土)を除く東アジアにおいては、新旧両時制が併存(共存)していたことを、沖縄の事例を通じて示した。これは、東アジアの共通かつ重要な特徴で、新しい科学、科学的合理性が、新しい時制の急速な普及をもたらしたわけではないことを示唆している。敷衍すれば、いわゆる近代と呼ばれる時代は、新しい科学技術や科学的合理性によってすべてが一新されたのではなく、新旧の文化が約一世紀間は共存しており、社会経済的状況の変化とともに緩やかに変化していったことが示されたといえる。
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