• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

寺山修司演劇におけるジェンダー意識の萌芽としての<女性もの>の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12913
研究機関富山高等専門学校

研究代表者

久保 陽子  富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (10813701)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード少女表象 / アングラ演劇 / 観客席 / あなたのファンタジィ / 寺山修司 / 萩尾望都
研究実績の概要

今年度は、本研究において注目してきた新書館から女性読者を想定して刊行されたFor ladiesシリーズの中の、寺山修司と萩尾望都が編者となり全9冊刊行された読者の漫画投稿誌「あなたのファンタジィ」(1977~1980)を取り上げた。寺山と萩尾の選評と投稿漫画を調査・検討し、商業雑誌には載らないのびのびとした個性的な作品を求め、プロではなく、アマチュアやセミプロが作品を発表する場を提供していたことを明らかにした。少女漫画における女性の書き手の増加を背景に、少女の書きたいという欲求をすくい上げた本シリーズを日本の少女文化の系譜に位置づけながら、寺山修司国際シンポジウムにて口頭発表を行った。
また演劇的な身体への関心から寺山修司「観客席」(1979年)を取り上げ、研究を行った。公演ポスターに描かれた拘束された少女に象徴されるように、本作は劇場における拘束性を演出し、そこに働く権力の技術を観客席から社会へと敷衍していく試みである。観客参加の方法や、上演されたテクストにおける観客への作用を検討し、演劇制度に対する批評性について考察を行った。この成果は、「観客の身体の拘束・挑発―寺山修司「観客席」論」(『昭和文学研究』2023年9月)に発表した。
本研究は、寺山作品におけるジェンダー意識を女性向け作品にその萌芽を見出すというものである。読者との交流の様相やその戦略性を考察することで、今まで注目されてこなかった寺山作品における少女というキーワードの重要性を再確認した。加えて唐十郎をはじめアングラ演劇人たちの少女を主題とした作品についても検討することで、60年代~70年代における少女小説、宝塚、少女漫画といった少女文化とアングラ演劇との関連性を見出すこともできた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 観客の身体の拘束・挑発―寺山修司「観客席」論2023

    • 著者名/発表者名
      久保 陽子
    • 雑誌名

      昭和文学研究

      巻: 87 ページ: pp.89-103

    • 査読あり
  • [学会発表] “Terayama Shuji’s Writings for Girls and Japan’s Girl Culture”「寺山修司の少女向け作品と日本の少女文化」2023

    • 著者名/発表者名
      久保陽子
    • 学会等名
      寺山修司国際シンポジウム
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi