近世から近代における和漢朗詠集の受容に関する研究

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K12920
• 研究機関: 熊本学園大学
• 研究代表者: 村上 義明 熊本学園大学, 外国語学部, 准教授 (30849683)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 和漢朗詠集 / 版本 / 出版 / 書肆 / 朗詠

研究実績の概要

令和4年度は、近世から近代における『和漢朗詠集』の受容についての研究のうち、主として、令和3年に「和漢朗詠集の整備と流通」と題して口頭発表した内容について、これを論文化するための研究を行った。
この研究では、近世に成立した数多くの『和漢朗詠集』版本を対象としているが、ここで得られた成果は、近世のみならず、近代における本書の受容を明らかにするための分析に資することが期待できる。
具体的な方法としては、これまでに収集した日本古典文学および出版、それから、これらの領域に関係する文献を用いて、論述と分析の補強をしつつ、同時に近代に刊行された『和漢朗詠集』に関連する文献の収集を行った。
なお、こうした研究とともに、本書に関連する諸文芸についての考察もはじめた。たとえば、近世における「朗詠」に対する認識との関わりや、本書の部立にかんする内容についてである。こうした『和漢朗詠集』の受容の解明に資すると考えられる分析は、以下に記す今後の研究と平行して、継続して行いたい。
その令和5年度の計画としては、まず、これまでに行ってきた上記の『和漢朗詠集』版本に対する総合的な分析によって明らかとなった結果を公表し、次いで、これをふまえて本書以外の文献、具体的には、近世の随筆に記された該書に対する認識について考察する。これもまた、まずは近世における本書に対する認識を明確なものとしたうえで、近代への接続について考えたい。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究にかんする分析や調査に時間がかかっているため。

今後の研究の推進方策

前年度より継続している課題についてまとめ、公表する。それから随筆を用いた研究に本格的に着手する。
なお、近年の新型コロナウイルスの感染拡大により、遠方への調査が難しかったことをふまえて、主に公刊された資料を用いた研究を行うこととする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、旅費の使用はなかった。次年度は、旅費の使用よりも、主として研究にかんする資料の収集を行いたい。