研究課題/領域番号 |
20K12923
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
本橋 裕美 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70803724)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 斎王忌詞 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、斎宮・斎院と忌詞の関わりを文学研究として明らかにすることにある。斎王忌詞と関連する和歌、物語の分析をおこなうだけでなく、『倭姫命世記』などの神道史料の作りあげたイメージがいかに波及しているか、また斎宮と斎院のあいだにある忌詞の規定上の差異がそれぞれにどのような影響を与えたかといった、制度の分析だけでは読み取れないものに和歌や物語をとおして迫ることで、斎王研究、忌詞研究、さらに皇族女性の王権意識へと展開する試みである。 2021年度は、研究中断期間(2020年8月~2021年7月)を置いたため、実質的に一年目にあたる。海外学会、研究打ち合わせ等のための海外渡航、国内での調査は実施できなかったが、資料の収集、今後の研究のための設備備品等の購入を行い、研究環境を整えることができた。特に本研究課題で重要になる和歌に関する資料は、新たな研究書が刊行されたこともあり、本研究課題にとって有益な情報を得ることができた。 2021年度の研究実績としては、「ジェンダー―古典―」(千葉 一幹 編著・西川 貴子 編著・松田 浩 編著・中丸 貴史 編著『日本文学の見取り図』ミネルヴァ書房、2022年2月、pp.28-31)の執筆を行った。本研究課題において重要な、古典文学におけるジェンダーに関する論考である。古典文学においてジェンダー研究を行うことの意義を問う論考であり、今後、本研究課題を広く提示していく点で重要な成果となったといえる。 このほか、本研究課題と関連する『狭衣物語』について論じた「『狭衣物語』憧憬の地としての竹生島」(乾澄子・萩野敦子編『狭衣物語<変容>』翰林書房、2021年4月、pp.77-97)がある。女人往生の問題ともかかわり、中世につながるテーマを孕む論考となった。本研究課題の展開につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響により海外渡航および国内調査を行えなかった点で、進捗は遅れている。2022年度にどこまで緩和されるか、緩和された中で実質的に渡航が可能になるかという点は、まだ不明である。特に中国およびブラジルについては、渡航後の研究活動の実現可能性、安全性という点でこの先が読めない。また、本研究課題では、連携する海外研究として中央アジアを想定しているが、ロシア―ウクライナ情勢の影響もある地域であり、渡航に向けた打ち合わせ等も進んでいない。国内にいる関係研究者とは、オンラインで今後の研究方法についての相談を行うことができたため、その点では前進している。 研究第一年目として、資料を収集し、新たな研究成果の情報を得て、研究課題の進展に向けた調査を進めるという基礎的な部分では、順調に進捗しているといえる。特に古典とジェンダーについては、すでに論考を発表し、成果の発信を行えた点で有意義な研究を行うことができた。今後は、論考に対する評価、応答を受けて、更に発信できるものについては発信を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、すでに中国での研究打ち合わせを済ませ、ウズベキスタン、カザフスタン等への調査、研究打ち合わせのための準備を行う時期であるが、現状、実現に向けて動き出すことが難しい段階である。海外渡航を要する研究課題の部分については、研究期間の延長を視野に入れている。渡航先の研究者の状況も変わりつつあるため、オンラインでの打ち合わせ等についても一部は実現し、今後、他の研究者とも行っていく予定である。 第二年度にあたる2022年度においては、神道関係の調査を積極的に進め、物語文学との連携に向けた研究を進めたい。国内における移動については、かなり緩和されてきた面があるので、2022年度は国内での調査の遅れを取り戻すべく計画を立てている。オンラインでの資料収集が可能になったものも多いので、活用していきたい。 2022年5月には、物語研究会での口頭発表を予定している。日本古典文学におけるジェンダー、セックスの研究史と今後の展開を問うものであり、本研究課題を直接的に進めることができる予定である。また、口頭発表の論文化も検討しているため、この発表を足掛かりに、研究課題を進捗させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響のため、国内、国外ともに旅費の使用ができなかった。調査後に、収集した資料について、学生アルバイトによる資料の仕分け、整理等を予定していたが、それも行っていないため、旅費、人件費等の支出がなかった。国際学会での発表等の予定も現時点で実現していないため、英文翻訳等の支出が行えていない。これらについては、オンラインで実現可能なものは調整し、また渡航の可能な範囲でより研究課題を進められるよう今後、変更、調整していく予定である。
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