• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

斎王忌詞の文学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12923
研究機関愛知県立大学

研究代表者

本橋 裕美  愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70803724)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード斎王忌詞 / 源氏物語 / 日本古典文学 / ジェンダー / 女性論
研究実績の概要

2023年度は、新型コロナウィルス感染症流行の影響により停滞していた国外での研究発信・調査を大きく進めることができた。特に、10月にヴェネツィア・カフォスカリ大学(イタリア)でのシンポジウムの実現は本研究課題にとって非常に有益であった。コロナ禍で国外に出られないあいだに、連携予定であった国外研究者の状況が変わるなど研究課題遂行にあたって大きな影響があった。そうした中で、対面で、日本・中央アジア・ヨーロッパ・アメリカの研究者が連携しての国際シンポジウムを開催し、実りある議論ができたことは大きな成果である。シンポジウムとしての成功だけでなく、個人の研究成果として日本古典文学とジェンダーの結びつきを示せたことも重要であった。また、11月には大英図書館(イギリス・ロンドン)等で翻案研究に関する資料収集を行うことができ、こちらもコロナ禍によって研究の中断を余儀なくされていたEAJS等の国際会議での発表に向けてパネルグループでの議論を進めている。
個人の研究としては、斎王忌詞の基礎調査を終えることができた。成果の執筆にはまだ時間がかかるが、今後まとめていくことを計画している。また、カフォスカリ大学でのシンポジウムにおける口頭発表のほか、説話文学会12月例会(神戸大学)での口頭発表を行った。さらに4本の論文を執筆し、これらは特に日本古典文学とジェンダー研究の可能性に関わるものである。文学、歴史学双方に亘る研究方法を踏襲しつつ、本研究課題に関わる女性論として展開させたもので、これらも重要な成果といえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウィルス感染症拡大による遅れは十分に解消されていないが、連携する国外の研究者の状況の変化もあり、形式や手段を変更するかたちで進展させており、本研究課題の目標達成に向けて大きく進むことができた。特に、国外学会で実現を目指してきたシンポジウムを、ヨーロッパ(イタリア・ヴェネツィア)で開催できたことは本研究課題にとって重要な進展である。国外の研究者、特に中央アジアの研究者との連携もヴェネツィアのシンポジウムで実現できた。研究期間を延長しており、2024年度に遅れている中国(四川省)の研究者との連携による調査等を実施できれば、本研究課題の目指す国際連携についてはおおむね遂行したと言える。
また、斎王忌詞の研究については、基礎的な研究を目指しているため、収集した資料の分析を続けているところである。資料の収集についてはおおむね終了しているが、現象の指摘だけでない分析を行ったうえで、先行研究との比較を経て報告していくことを検討しているため、もうしばらく時間がかかる予定である。
日本古典文学とジェンダーについては、口頭発表、論文発表を重ねており、当初予定していた以上の進展がある。

今後の研究の推進方策

2023年度で終了する予定であったが、コロナ禍による研究の停滞のため、2024年度も本研究課題を延長して対応している。国外での調査、発信については、懸案である中国への渡航を2024年度中に計画しており、連携する研究者ともメールでの打ち合わせを続けているので、実現は可能である。
日本古典文学とジェンダー、女性論については、すでに論文発表の予定があり、計画を進めている。斎王忌詞についても、所属大学の紀要等をとおしての論文発表を計画している。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響による研究の遅延、予定変更を完全に解消することはすでに難しい状況だが、形式、方法を変えての研究遂行を目指しており、実現は可能と考えている。形式、方法を変えた場合、研究課題としては更に大きなものとなるので、本研究課題をまとめつつ、展開させるための次の研究課題への応募も見据えて研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に行うべき研究はおおむね遂行できたが、2022年度以前の新型コロナウィルス感染症拡大における研究の停滞による影響が長引いている。また、国際情勢の不安定さもあり、国外での調査、研究打ち合わせ等で滞っている部分があるが、研究延長した2024年度に実施予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] Ca’ Foscari University of Venice(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      Ca’ Foscari University of Venice
  • [雑誌論文] 〈聖女〉を生きる斎宮──〈母と娘〉の連帯から2024

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美
    • 雑誌名

      『思想』2024年3月号

      巻: 1199 ページ: 63-80

  • [雑誌論文] 規子内親王に関する一考察2024

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美
    • 雑誌名

      説林

      巻: 72 ページ: 29-40

    • DOI

      10.15088/0002000206

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 紫式部と宮廷の女性たちー『紫式部日記』の戦略2024

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美
    • 雑誌名

      歴史評論 2024年1月号

      巻: 885 ページ: 24-33

  • [学会発表] ジェンダー以後の古典文学研究ー上代、平安の文学を中心にー2023

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美
    • 学会等名
      説話文学会12月例会
    • 招待講演
  • [学会発表] Accession and Ritual in the tale of genji2023

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美
    • 学会等名
      Literature as Rite in Japan
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 源氏物語を読むための25章(「紫の上の述懐」と皇女の生)2023

    • 著者名/発表者名
      本橋裕美(河添房江、松本大編)
    • 総ページ数
      331
    • 出版者
      武蔵野書院
    • ISBN
      9784838610099
  • [学会・シンポジウム開催] Literature as Rite in Japan2023

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi