研究課題/領域番号 |
20K12942
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
牧 千夏 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (40847589)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本近代文学 / 文芸同人誌 / 東北地方 / 宮沢賢治 / 郷土文学 |
研究実績の概要 |
2020年度調査を進めた地方教育雑誌『岩手教育』の調査を引き続き進め、論文としてまとめた。1920~1930年代前半の『岩手教育』には、新教育運動の影響が色濃く見られた。しかし、中央の教育思潮をそのまま引き継ぐというような影響の受け方ではなかった。中央から距離があるためか、教員達はきわめて個人的な関心(例えば信仰する宗教や、愛好する文芸など、必ずしも教育に関係するわけではない)に引き寄せて、かなり自由な解釈をしていた。また、教員同士が集まって行う勉強会でも、「○○には賛成できない」というように、著名な教育思想家に対する厳しい議論も交わされていた。この有様は、地域的な特徴が表れているというよりも、解釈の自由度が高いと表現した方がよいと考えられる。 加えて、岩手の地方文芸誌で重要な役割を果たしていた梅野健造について調査をした。岩手版『産業組合新聞』などの調査を進めたが、彼に関する重要な情報は得られなかった。引き続き探索する予定である。 また、地方文芸誌を閲覧する中で民間信仰に関する詩や小品をいくつか発見した。宮沢賢治も、隠し念仏や庚申信仰などについてメモを残しており、それについて作品化していた。他にも、岩手県の出身の野村胡堂も民間信仰のひとつである隠し念仏を作品のなかに登場させていた。地方文芸において、民間信仰は支持と批判とが入り混じって表現されていることを調査し、それを論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
梅野健造についての重要な情報が得られなかった。彼が編集した岩手版『産業組合新聞』などの調査を進めたが、彼に関する重要な情報が記載されていなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
『岩手教育』の調査のなかで、当時の主流の思潮について知ることで、地方文芸誌の特色が際立って見えてくることが分かった。そのため、『詩と詩論』『詩人時代』などの中央の詩雑誌の調査も進めていきたい。また引き続き、梅野健造と岩手の産業組合についての調査を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
期間の終わりに購入した書籍が想定より安価に購入できた。次年度書籍購入に使用する。
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