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2020 年度 実施状況報告書

ナラトロジーと空間論の接続による19世紀英国小説のテクスト相関性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12964
研究機関東京都立大学

研究代表者

佐久間 千尋  東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (70837236)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードジョージ・エリオット / ブロンテ姉妹 / 語りの構造 / 空間 / テクスト相関性
研究実績の概要

本研究では、ブロンテ姉妹とその同時代作家たちを中心とする小説のテクスト内部とテクスト間における語りの構造と空間との相互作用を検証することにより、これらの作家・作品が属するロマン主義小説の汎ヨーロッパ的系譜の再構築を行うことを目的としている。2020年度は、George EliotのThe Lifted Veil (1859)における二重性/二元性について考察し、論文を発表した。The Lifted Veilの語り手であるLatimerに備わっている性質previsionとinsightが、語りの二重構造およびBerthaに対して抱く二重性を構築していることを指摘した。結末においてBerthaの計画を曝露するために使用される輸血という手段にデカルトによる心身二元論を応用することにより、輸血の実験が語りの構造と連関していることを明らかにした。本作品を二重性というテーマで考察することにより、空間における二重性/二元性、一人称による語りの新たな解釈の可能性を見出した。語りの多様性は、エリオットのみならず他の作家の作品研究にも適用することができると考える。
ブロンテ姉妹、チャールズ・ディケンズ、ジョージ・エリオットの文献を渉猟し、語りの構造と空間の観点から研究を進めるなかで、三者に共通するテーマとしてのおとぎ話との相関性に着目した。2020年度は、ブロンテ姉妹の小説とおとぎ話に関する先行研究を調査し、各作品の精読および考察を進めた。申請者の研究テーマである語りの構造と空間の観点から、おとぎ話による影響を解析することにより、ブロンテ姉妹研究の新たな側面を明らかにすることが可能になると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ジョージ・エリオットの作品について、語りの構造と空間性に関する新たな視点を獲得できた。この視点を応用しながら、各作品の分析、先行研究の調査を進めている。さらに、ブロンテ姉妹の小説とおとぎ話についての先行研究を調査し、議論の傾向を整理することができている。2021年度内の研究発表および論文執筆を目指し、準備を進めている。

今後の研究の推進方策

2021年度は、ブロンテ姉妹、ジョージ・エリオットが享受した、ドイツ・ロマン派に関する文献調査を中心に行い、その影響を探る。2020年度に着手したグリム兄弟についての調査を進め、おとぎ話の観点から、ブロンテ姉妹、エリオットの作品を分析および考察する。先行研究の渉猟については、2021年度も継続して行っていく。長期休業期間中には渡英して文献調査を行う予定としているが、新型コロナウイルスの情勢によって実施困難とも推測されることから、主に先行研究の調査および整理、作品の分析を主眼としていく予定である。研究成果は、2021年度内に所属学会で発表し、論文を執筆する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は、ノートパソコンの購入を見送ったこと、および、新型コロナウイルスの影響を受けて、当初予定としていた文献の購入よりも入手が容易なデータベース上の文献調査を優先させた時期があったことなどから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、ノートパソコンの購入、文献調査、先行研究の購入等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] “What the Transfusion Unveils: Dualism Lurking behind The Lifted Veil.”2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間 千尋
    • 雑誌名

      『人文学報』

      巻: 第517-13号 ページ: 1-15

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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