2023年度はこれまでの研究成果をもとに論文2本(そのうち1本は英語)を執筆し、現在査読の結果待ちである。前年度に実施した研究発表2本についてもそれぞれ報告書にまとめた。 研究発表については、ここ数年参加できなかった海外での研究発表や国内外の研究者の交流に重きを置いた。7月にカナダのカルガリーで開催された学会で研究報告をし、2024年1月にはAALA(アジア系アメリカ文学会)の例会において、アメリカの若手研究者による講演と日本の研究者とのラウンドテーブルをオンライン(zoom)で開催した。いずれもオノト・ワタンナという日本の筆名で19世紀末から20世紀に活躍した作家についての研究成果であり、これまで直接交流のなかった北米やヨーロッパの研究者と交流を深めることができた。国内では、日本アメリカ文学会関西支部の若手シンポジウムにおいて、司会と発表を担当した。 2020年度から2022年度にかけては、海外での活動は断念し、国内での研究に専念することになったが、2023年度は海外での調査研究や学会参加をすることができた。研究成果についてもアジア系アメリカ研究について3本の共著を出版することができた。オンラインでも様々な会に参加することができるようになり、時間や場所の制約を越えて交流の幅を広げることができたのではないかと思う。 初年度はアジア系アメリカ文学と「食」というテーマに焦点を絞って研究を進める予定であったが、その後研究会や学会での共同プロジェクトを通して、環境や労働などさらに視野を広げることができた。今後はそのような問題をより複合的に論じていくことができればと考えている。
|