研究課題/領域番号 |
20K12981
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木内 尭 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60847812)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フローベール / ロマン主義 / シャトーブリアン / ユゴー / ミシュレ |
研究実績の概要 |
本研究は、フローベールの文学をロマン主義の批判と継承という歴史的な視点から再検討することを通して、「現代文学の先駆者」という従来の作家像に取って代わる、新たな作家像を構築することを目的としている。 初年度にあたる2020年度は、文献調査を特に重点的に行った。具体的には、シャトーブリアン、ユゴー、ミシュレといった、ロマン主義を代表する作家が残した作品のうち、フローベールが読んだ可能性のあるものを、出来る限り網羅的に読み込んだ。その結果として明らかとなったのは、今まで考えられてきた以上に、フローベールがこれらのロマン主義の作家たちと、数多くの共通点を有していたことである。次年度以降、本年度実施した文献調査をもとに、フローベールのテクストの読み直しを図り、研究成果の発表につなげたい。 また、本年度はそれと並行して、フローベールの『サラムボー』についての研究も進めた。『サラムボー』は、『聖アントワーヌの誘惑』と並んで、フローベールのロマン主義的な傾向が最も顕著に表れていると言われる作品である。本研究では、第十三章で描かれるカルタゴ攻囲戦の場面に特に注目をしながら、文献調査とテクスト分析を進めた。『サラムボー』についても、次年度以降、さらに研究を進めた上で、成果発表を行いたい。 本年度はこのように、文献調査やテクスト分析に重点を置いたこともあり、研究成果の発表には至らなかった。しかし、来年度以降、精力的に成果発表をしていくための、土台づくりができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定されていた研究発表が中止となり、フランスでの文献調査も実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年はフローベールの生誕200年にあたる年である。フローベール生誕200年を記念した論文集や研究集会において、本研究の成果の一部を発表することを予定している。また、研究成果の発表と並行しながら、さらなる研究の展開を目指して、文献調査とテクスト分析も継続して進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、フランスにおける文献調査を実施できなかったため。
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