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2022 年度 実施状況報告書

古代詩学のキリスト教的変容―古代末期/ルネサンス期聖書叙事詩の文学史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12984
研究機関愛媛大学

研究代表者

上月 翔太  愛媛大学, 教育・学生支援機構, 助教 (90860867)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードアラトル / 使徒の物語 / 叙事詩の環
研究実績の概要

主に古代末期の聖書叙事詩の詩人、ユウェンクス、セドゥリウス、アラトルについて整理し、研究を進めることができた。とりわけ、ウェルギリウスを古代末期の聖書叙事詩人らがいかに継承したのかという従来しばしば行われてきた分析の視点に加え、オウィディウス『変身物語』など別のモデルを想定することで、より多角的な作品の検証が可能になることが示された。
また、これまで研究では十分に検討ができていなかったアラトル『使徒の物語』についても踏み込んだ作品の検討を行うことができた。明確な序をもたない冒頭、人物造形、聖書注釈の方法論など先行する聖書叙事詩人との違いを明確にすることができた。
こうした各詩人の検討を経て、古代末期の実践におけるいわゆるキリスト教文学的な性格についても考察を進めることができた。とりわけ、詩人の立ち位置がそれぞれの作品で異なっていることがわかる。具体的には、福音書の作家と同等の資格を自身に認めるユウェンクス、典礼の実践者としての役割を自らの課すセドゥリウス、聖書解釈の学識者としてのアラトルといったものである。
以上の成果は学会で発表を行ったほか、分担執筆でかかわった書籍の1部で公刊することができた。聖書叙事詩に関する現在日本語でアクセスできるほぼ唯一の著作となる。また、2022年度後期からは改めてルネサンス期の聖書叙事詩の検討も再開し、古代末期の作例がいかに継承されたのかを明らかにする準備に入った。既に進めている検討の内容については2023年度の学会発表を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

個別作品の検討がある程度進み、古代末期とルネサンス期の実践の比較に着手できていることからおおむね予定通りの進行となっていると判断する。

今後の研究の推進方策

個別作品の検討はアラトル『使徒の物語』を中心にする。この成果についてはすでに5月に行われる学会での発表が決まっている。また、古代末期の聖書叙事詩がルネサンス期の作品に影響を及ぼした可能性の検討についても、6月の学会発表を行うことが決まっている。以上の成果を論文化し、公刊することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

購入予定だった書籍が複数刊行遅延となったことによる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 古代末期聖書叙事詩における叙事詩観の変容2022

    • 著者名/発表者名
      上月翔太
    • 学会等名
      美学会第73回大会
  • [図書] 人はなぜ神話<ミュトス>を語るのか―拡大する世界と<地>の物語2022

    • 著者名/発表者名
      清川祥恵, 南郷晃子, 植朗子, 野谷啓二, 上月翔太, 田口武史, 里中俊介, 山下久夫, 斎藤英喜, 藤巻和宏, 鈴木正崇, 平藤喜久子, 横道誠, 庄子大亮, Jose Luis, Escalona Victoria, 鋤柄史子
    • 総ページ数
      367
    • 出版者
      文学通信

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公開日: 2023-12-25  

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