研究課題/領域番号 |
20K12986
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
志々見 剛 学習院大学, 文学部, 准教授 (40738069)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ボダン |
研究実績の概要 |
2021年度は、数あるジャン・ボダンの著作のうち、とりわけ『悪魔狂についてDe la demonomanie』(1580年初版)を中心にして、研究を行った。これは、フランス語で書かれた悪魔論・魔女論として同時代のみならず後世にまできわめて大きな影響を及ぼした重要な著作であるだけでなく、彼自身の他の著作、たとえば『歴史の方法についてMethodus ad facilem cognitione historiarum』や 『国家論De la Republique』、さらには没後に刊行された『七賢人の対話Colloquium heptaplomeres』などとも、一筋縄ではいかない、複雑かつ多様なつながりを持っているものである。この著作を主な対象に、ボダンが言及したり援用したりしている、聖書や、古典古代(プリニウス、アピュレイウスなど)や教父時代(アウグスティヌスなど)の著作、あるいは近い過去や同時代の著作(『魔女への鉄槌』など)と対照しつつ、その独自性を明らかにしようと試みた。そして、こうした検討の成果として、「ジャン・ボダン『悪魔狂について』における経験的な知識」という論文を執筆し、公表することができた。たとえば対蹠地(地球の反対側にある土地)の存在や、人間の動物への変身といった事象について、ボダンがいかに経験的な知識の有効性とその限界をもとに、議論を展開しているのかを明らかにすることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍での海外渡航の制限や学務負担の増大、さらには海外から取り寄せる書籍の遅延といった要因が重なって、当初思い描いたようにはなかなか研究を進めることができないでいる。手元にすでにある資料を活用して、研究の方向を整理する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の状況で様々な制約はあるが、これは手元にある資料をじっくりと分析する好機と考えることもできる。今年度正面からは取り上げなかったボダンの著作について、逐次、研究を進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画にあった海外への渡航は、コロナ禍のため、いまだ実現できずにいる。また、海外から書籍を取り寄せるのも、遅延が発生し、なかなか思う通りにはいかない。したがって、状況の改善を期して、次年度に使用することにしたい。
|