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2023 年度 実施状況報告書

トランスナショナルな視座からの尹東柱表象の検討と抵抗詩人言説の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K12997
研究機関大阪公立大学

研究代表者

姜 信和  大阪公立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (50725083)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード尹東柱の脱神話化 / トランスナショナルな視座 / 日本・韓国・朝鮮民主主義人民共和国・中国東北部 / 記憶と表象 / 民族主義 / 抵抗詩人言説
研究実績の概要

本研究は、植民地統治期に間島(旧満州)に生まれ福岡で獄死した詩人、尹東柱をめぐる言説の実態を再検討するものである。詩篇の内在的読解を基礎に、東アジアの国々で増幅され神話化されてきた言説形成の核心を究明する。先行の文学的評価を踏まえた上で「民族」の詩人を記憶するための記念事業とメディアによる表象全般に分析対象を拡げて、テクストそれ自体と言説との差異を析出する。歴史的トラウマを背景にした被害者側と加害者側、双方の政治的無意識を注視してテクスト外の情報に過度に依拠しがちな言説を問い直す。それにより国家間で助長しあい、その結果として陥ってきた民族主義翼賛の構造を解明する。さらに犠牲者を弔おうとするがために陥る罠、現在の史観による表象と言説が抱えもつイデオロギー性の限界の提示をめざす。
研究の進捗状況については、今年度も遅延を余儀なくされた。しかし、新たに異動した所属機関のサポートにより、同志社大学尹東柱を偲ぶ会から預託された資料の分析はいくぶん進んだ。尹東柱の詩碑前に寄せられたノートなどはすべてデジタル保存した。目下、テキストマイニングを用いてその分析を試みている。
また、初年度に計画していた現地調査もコロナ禍の余波でいまだに実現していないため、次年度こそは実施する予定である。引き続き、期間終了時までには当初の研究計画に見合う成果をあげるよう努める考えである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

先年度同様、私事により研究活動がままならない時期が続いた。しかし、持続的な支援体制の整っている新たな研究機関の手厚いサポートにより、データ解析については遅れを取り戻しつつある。

今後の研究の推進方策

研究の遅延を立て直すため、本来ならば初年度と翌年度に実施する予定であった海外における現地調査を必ず実施したいと考えている。以前からの海外研究協力機関である韓国・国立済州大学校在日済州人センターの研究者ら、また日本国内の協力団体である同志社大学尹東柱を偲ぶ会との連携協力を再確認する。引き続き後遺症の克服に努めながら、これまでの原稿に推敲を加え、研究成果を発表するつもりである。

次年度使用額が生じた理由

理由としては先年同様、海外における現地調査を予定通りに行えなかったことが大きい。併せて対面による研究会も自粛したため、人件費・謝金が発生しなかった。繰り越した予算は、引き続き資料の整理に要する作業のための人件費、研究協力者への謝金にあてるなど、研究の遅延解消のために有意義に活用する計画である。次年度は延長が許可された研究期間の最終年であるため、これまでに実施できていない調査と同時進行で、論文執筆に注力する考えである。

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公開日: 2024-12-25  

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