研究課題/領域番号 |
20K13006
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
城 綾実 立命館大学, 文学部, 准教授 (00709313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 会話分析 / マルチモダリティ / 隣接ペア / 情報授受 / ジェスチャー / 身体 / 相互行為秩序 / 診療場面 |
研究実績の概要 |
先行発話のジェスチャーが後続発話でジェスチャーをすることを制約することはあるのか。従来のジェスチャー研究と社会学や言語学における相互行為研究で明らかにされてきた隣接ペアの制約関係についての知見をもとに、本研究課題では、日常会話、科学コミュニケーション場面、医療診療場面、介護場面、観光場面などの多様な状況や場面の相互行為データをもとに会話分析を用いて、「先行発話が後続発話においてジェスチャーを用いることを方向づけるような参加枠組み」の存在を明らかにし、ジェスチャーをはじめとするさまざまな身体的ふるまいを活用する参加枠組みの創出メカニズムに迫ることを目的とする。 2023(令和5)年度の成果は次の通りである。 日常会話や少し実験的な課題遂行型対話を対象とした研究成果を、オーストラリアのブリスベンで開催された国際会話分析学会(the International Conference on Conversation Analysis; ICCA2013)において、“Some gestures to initiate sequential environments for gesturing: Focusing on information-seeking sequences and formulating”というタイトルで口頭発表を行った。また、総合診療場面の医師と患者のジェスチャーについて、ジェスチャーを用いることを方向づけるような連鎖的環境が生じる可能性について検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析補助作業者を2名雇うことができ、これまで遅れていた分析補助作業を進めることができたので、分析も進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度後半に日本の学術雑誌に投稿した、科学教育を対象としたものについて論文が現在査読中である。掲載を目指して作業しつつ、総合診療場面の医師と患者のジェスチャーについて、すでに整理されているデータを、主訴が頭痛やめまいに絞って観察し分析のもとになるコレクションを作成する。研究協力者との月例会議で毎月進捗を報告・データコレクションの説明をすることで、令和6年度末には論文のアウトラインの目処を立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の使用実績自体に問題はなかったが、コロナ禍および所属期間の異動に伴う研究停滞で、予定していた研究発表を断念したり、今年度以外で分析補助者を雇用できなかったりしたことが、次年度使用額が生じた理由である。 次年度末までに論文のアウトラインに目処をつけるには多くのデータを処理する必要があるので、分析補助者を雇って、環境も整えて進めていく。
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