研究課題/領域番号 |
20K13007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横森 大輔 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (90723990)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聞き手行動 / 会話コーパス / 日英対照 / 会話分析 / 相互行為言語学 |
研究実績の概要 |
・研究課題2年目となり、初年度から引き続いて、会話データの整備・ケーススタディの対象となる現象のコレクション作成・一部のケーススタディの成果発表を行った。また、第17回国際語用論学会をはじめ、様々な学術集会にオンライン参加し、自身の研究成果の発表を行うとともに最新の研究動向の調査を行った。 ・前年度に投稿していた、先行発話に対して反応を行う際に、接続表現「けど」が、ターン冒頭要素として用いられる発話形式と、ターン末尾要素として用いられる発話形式の相互行為上の違いを分析した論文について、査読結果を受けて改稿を進め、Journal of Pragmatics誌での採択が決定した。 ・肯定的反応表現である「はい」と「うん」の比較分析を進め、その成果に基づき国立国語研究所のシンポジウム(オンライン)でポスター発表を行った。特に、一続きの行為連鎖の中で、聞き手が「はい」と「うん」を使い分けている会話断片をいくつか集中的に分析することで、分析のとりまとめの方向性をより頑健なものにすることができた。 ・眼前の状況や相手の言動に対する反応として、そこに観察される問題点について述べる発話(トラブル言明)が、「~けど」という発話形式で行われる際の相互行為上の特徴について、「~よ」という発話形式との比較を通じて記述を行った。その内容を言語の定型性に関するシンポジウム(オンライン)にて発表を行った。またその内容をとりまとめて国際誌に論文投稿し、査読の結果としてごく軽微な修正のみが求められるという評価を得た。 ・「話し合いの場面で、参加者間で何らかの合意に到達したと思われるタイミングで、その結論の妥当性について確認する」という相互行為実践の事例について検討を行い、その初期報告をとりまとめて所属研究機関の紀要における研究ノートとして刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍においても、オンライン体制を活用することで様々な学術イベントに参加することで、自身の研究のとりまとめを進めつつ、学界の最新動向に触れることができた。九州大学から京都大学への異動に伴い、新しい研究環境の構築に苦労した面はあるが、研究成果の発表は順次行っており、複数の国際誌にて論文掲載が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
・引き続き、分析を実施しているいくつかのケーススタディについて、論文執筆を進める。その中では、聞き手行動そのものに焦点を当てるだけでなく、聞き手行動を要求する話し手の発話デザインについての事例研究も成果をとりまとめていく。 ・オンラインでの学会等への参加は有意義な点もあったが、創発的なディスカッションや知見の深化という点では対面での会合を代替するものになっていない。今後は、感染状況をにらみつつ、対面での研究集会参加や打ち合わせの実施などを積極的に検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
・九州大学から京都大学への異動に伴い、学生アルバイトの人材を見つけることが難しく、計画していた規模で謝金が実施できなかった。 ・年度中に対面での学会・研究会参加が行われる可能性を見込んでいたが、すべてオンラインとなった。
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