研究課題/領域番号 |
20K13007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横森 大輔 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (90723990)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 聞き手行動 / 会話コーパス / 日英対照 / 会話分析 / 相互行為言語学 / 先取り完了 / プロソディ / 延伸 |
研究実績の概要 |
・Journal of Japanese Linguistics誌での採択が前年度に決定していた、「問題がある状況について述べる発話」における「~けど」で終わるフォーマットを義務論的含意(deontic implication)の観点から考察した論文が正式公開された。 ・会話における先取り完了現象のうち、後行話者が「語の途中の形態素」から発話を開始する現象について分析を進め、2023年7月に開催された第18回国際語用論学会のパネルセッションにて口頭発表を行った。その後、パネルオーガナイザーからのフィードバックに基づいて理論面・分析面の再検討を行い、論文執筆の準備を進めた。また、述語に後続するモダリティ要素「かも(しれない)」「らしい」「みたい」「っぽい」による先取り完了の会話事例をさらに収集し、コレクションを拡大した。 ・下降調イントネーションで産出された英語のreallyと日本語の「ほんと」の共通点と相違点についての分析を取りまとめ、2023年7月に開催された第6回国際会話分析学会のパネルセッションにて口頭発表を行った。英語のreallyについては、上昇調と下降調というイントネーションの違いと対応した会話における働きの違いの分析を比較した論考を、大津隆広(編)『データを用いたことばとコミュニケーション研究の手法』(ひつじ書房)の中の一章としてにて発表した。 ・文節末延伸の韻律的バリエーションとその相互行為的基盤について、単一事例分析による試論をとりまとめ、定延利之ほか(編)『流暢性と非流暢性』(ひつじ書房)の中の一章として発表した。 ・日本認知言語学会第24回大会にて、用法基盤言語学への相互行為的アプローチをテーマとするをワークショップを開催し、「けど」中断節構文による肯定的評価についての分析を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度単年で見れば一定の成果を上げることができたが、2020年度以降しばらくコロナ禍による学術集会の中止やオンライン化のために研究推進が予定通りに進まなかったことや、2021年度の勤務先変更によって予定外の多忙さがあったことにより、プロジェクト全体としては当初の計画よりはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1年間の延長を受け、これまでの成果のとりまとめ(執筆および書籍刊行)に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度分に限らず、COVID-19の影響および2021年度における勤務先変更により、当初の計画通りに研究活動が実施できなかった点が多々あり、各年度の未使用額が累積している。研究期間の1年間の延長が認められたため、6月の国際会議旅費および参加費をはじめとして、研究成果の取りまとめに関わる経費執行に残額を使用する予定である。
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